「ウミンチュ像」台湾に建立/那覇空港で出発式
友好平和の歴史を後世に/下地市長が交流会出席
【那覇支社】1905年ごろから台湾に渡った沖縄の漁師らの生活と現地での交流の歴史を後世に伝えるため、台湾基隆市に「琉球ウミンチュの像」が建立され、12月1日に除幕式を行うことになった。同像の建設設置に携わった「琉球ウミンチュの像建立期成会」(会長・名城政次郎県台湾会会長)の関係者ら同建立記念交流会に出席するメンバーが30日、那覇空港内で出発式を行った。同式典には基隆市と姉妹都市を結ぶ宮古島市から下地敏彦市長も出席する。
日清戦争が終結し日本による台湾統治が始まった1895年以降、港湾建設や漁業のため、台湾基隆市には沖縄から多くの漁師が移住し、各地に沖縄人集落がつくられた。基隆市和平島のウミンチュは最大で500人に達し、現地で漁法技術を伝えるとともに、沖縄と台湾の友好関係構築に寄与したといわれている。
基隆市和平島の慰霊堂には約3000人の琉球ウミンチュが埋骨されており、現在でも地元の人たちによって、大事に献花、焼香されていることが台湾の研究者、許光輝さん(台湾警察専科学校助教授)によって明らかになった。
その後、台湾、沖縄の双方で、台湾でのウミンチュの活躍を語り継ぎ、友好平和と交流の歴史を伝え継ぐために同像建立の期成会が発足。基隆市和平島公園内に同像の設置が決定した。
30日の交流会出発式で、あいさつした同期成会の名城会長は「台湾の方々の好意に応えるため、心から祈りをささげに行きたい」と述べ、ウミンチュの活躍を伝え広めることによって、友好親善の輪を広げることなどを述べた。
また、下地市長は「われわれの先人の御霊を慰霊し、台湾との交流を深めることに意義がある」と述べ、同像建立によって、2地域の交流が促進されることに期待を込めた。同石像の碑文タイトルには、宮古島市の古堅宗和企画政策部長の文字が使用される。