来年2月まで10頭誕生か/宮古馬
荷川取さん 保存訴え乗馬で島一周
宮古馬の飼養頭数が来年2月にも40頭に達する可能性が出てきた。現状30頭の宮古馬だが、年末から2月にかけて最高10頭の子馬が誕生する見通しで、保存のために最低必要とされている50頭も見えてくる。増頭運動に関連し、荷川取牧場の荷川取明弘さんは13日までに、宮古馬に乗馬して宮古本島をほぼ一周。宮古馬の飼養を始めてから10年来の夢を実現させた。各地で宮古馬の保存を訴えた荷川取さんは「目標を達成することができた」と感無量の様子で話すとともに、さらなる増頭に期待を込めた。
宮古島市によると、1985年に本格的な増頭運動を開始。粟国島で飼養されていた宮古馬を買い取って飼養を始め、92年には20頭まで増やした。2007年には30頭に到達、10年には最高の33頭となった。
宮古馬は毎年のように誕生しているが、事故死などの死亡も相次いで増減を繰り返してきた。11年も12月までに2頭誕生したが、5頭が死亡。結果として3頭減少して現在は30頭が生存している状況だ。
来年2月にかけて最高10頭が産まれれば40頭に到達する。市の担当課では「誕生する馬もいれば死亡する馬もいるので難しい部分がある」としながらも増頭に期待を込めている。
そんな宮古馬の増頭に積極的に取り組む荷川取さんは乗馬による島一周で貴重種の保存を訴えた。井上好英さんと市熱帯植物園を10日にスタートし、13日にゴールした。期間中、来間島や池間島も含めて宮古本島内をくまなく回った。
宮古馬が一般道を歩く姿は多くのドライバーの目を引き、中には車から降りて記念撮影する人もいた。
荷川取さんは「宮古馬の保存もそうだけど、この馬に乗って島を一周するということをいつか絶対にやりたいと思っていた。きょう実現してみて、あらためて宮古馬が強い馬であることが分かった。いろいろな可能性がある馬だと思う」と話し、広く市民の間で宮古馬増頭運動の機運が高まることを期待した。
井上さんは「なかなかできない経験で最後まで楽しく乗れた。2日目から馬の表情も変わり、元気になるのが分かった。これが本来の姿なんだと思う」と乗馬の感想を話した。