行雲流水
2011年12月19日(月)22:32
「格差の拡大」(行雲流水)
世界中が「格差の拡大」でひずんでいる。各種の資料をひもといてみると、その実態は予想以上に深刻である
▼大富豪の多いアメリカでは、70万人のホームレスがいて、その4分の1は退役軍人である。家庭で十分に食事がとれないで食糧無料配給所に群がるアメリカ人は4400万人にのぼる。子どもの3割が食事の不安に直面していて、食事を学校給食に依存している。このように「見捨てられた人々」が増加し続けている
▼一方ロシアでは、年収ピラミッドの頂点は「新興財閥」といわれる人々で、上から10人の1人当たりの年収は1兆7000億円である。全人口の2%が総貯蓄の6割を占める。多くが生活苦を訴えており、最下層には「もの乞い」をする人々がいる。こうした貧富の格差や汚職などを放置してきた政権に対する10万人規模の抗議デモが最近首都モスクワで行われた
▼厚生労働省によると、日本の相対貧困率は高まり、格差が拡大している。OECD(経済協力開発機構)は、その原因を次のように指摘している。①高齢化の進行。②労働者間の所得格差の拡大(正規雇用と非正規雇用)。③税制の変更(高額所得者への国税の税率が最高70%から37%に軽減された)。④社会保障のための支出が少なく、格差是正効果が低い。現状を是正すべき方向は明らかである
▼以前、日本国民の8割が中流意識を持っていた。今は住みづらい国になってしまった
▼「これからどうするか」、主権者である全国民に突きつけられた課題である。