行雲流水
2011年12月21日(水)23:43
みどりの弁論(行雲流水)
故砂川玄徳さんは書いている。『私の青春に迷いはない』と題したみどりの弁論は実に衝撃的な出だしであると。出だしは「なぜ私だけが両親や妹たちのことで悩まなければならないのか」と訴えている
▼続いて「私たち家族には世間並みの会話がありません。健常者にとっては当たり前の言葉。その当たり前の言葉が私たちの家族にはないのです」と。1986年の成人の日第32回NHK『青年の主張』全国大会で旧宮古農林高校1年生根間みどりが発表した弁論の出だしである
▼全国4200余人の中から選ばれ3000人の聴衆で埋まったNHK大ホールの舞台に立ったみどりは手話を交えた発表を静かに終え〝特別賞〟に輝いた
▼即座に取材で来島した全国誌の総合雑誌「主婦の友」は写真9枚を添え家族の中でたった一人耳が聞こえるとしたらそれは16歳の少女が背負うにはずいぶんと重い〝聞こえる〟不幸なのかもしれない
▼でもだいじょうぶ。家族にとってみどりさんは明るく輝く沖縄の太陽なのだ-と8ページに及ぶ特集を組んだ。みどりは発表を「父母と同じ妹たちと同じ身体障害者の手となり足となり頑張ります」と結んだ
▼中京女子短期大学保育学科を卒業したみどりは発表の主張通り現在浦添市児童デイサービス事業所「たんぽぽ園」・浦添市障害児放課後児童健全育成施設「ひまわり学童」・浦添市障害児タイムケア事業「遊友」等の所管所長として弁論主張を貫徹した任務に日々励んでいる。