キビ交付金1万6000円/12年産
農水省、単価増額は認めず
【那覇支社】農林水産省は22日、2012年産サトウキビ生産者交付金を決定し発表した。交付金額は11年産と同額の1㌧当たり1万6000円に据え置いた。県や県農協中央会(小那覇安優会長)は500円の積み増しを要求していたが、同交付金の財源である糖価調整制度の累積赤字が408億円にまで上昇していることなどから単価の増額は認められなかった。また、11年産で病害虫被害の大きかったキビ農家の生産回復を目指し、全生産者を対象とした防除取り組み支援策で総額7億円程度を講じるとしている。
12年産の基準糖度帯は13・2~14・4度を維持する方針。交付金措置による県内キビ農家の平均手取り額は約2万2000円になる見通しだ。
与党民主党の戸別所得補償制度ワーキングチームは、沖縄、鹿児島、北海道のJA関係者からヒアリングを行い、11年産サトウキビが台風、干ばつ、病害虫被害などにより未曾有の不作となることから、生産回復のための緊急対策を政府あて提言していた。
与党関係者によれば、今後、サトウキビ交付金単価の算定方法を再点検する方針で、生産トン数の小さな農家でも安定した生産者所得が得られるように検討しているという。来年夏ごろまでには同算定方法を見直す方針だ。
伊良部地区さとうきび生産組合長の渡久山毅さんは、12年産サトウキビ単価の据え置きについて、「11年産サトウキビは台風や日照不足などの影響で、反収そのものが悪く、生産量の大幅な落ち込みが分かっている。できれば、交付金単価を上げてもらいたかった」と話した。
県農水部によれば、11年産サトウキビ生産量は1972年の本土復帰以降、最低の65万㌧水準になる見込みで、県全体の農家収入が約40億円減額するものと分析している。また、肥料などの生産資材価格の高騰により、生産コストが高止まりとなっていることなどから、JAと連携し、国に対してサトウキビ単価の積み増しを求めていた。