伝統のイモ復活へ
カンショ研究会が中核組織
宮古島市は今年、宮古の伝統作物であるイモの復活に動き出す。宮古島市カンショ研究会(上地雅己会長)の計画賛同者が、取り組みの中核を担う。生産は2011年の108㌧、1620万円を10年後21年には2520㌧、3億7800万円に増やす計画を示している。
宮古島市カンショ研究会(上地雅己会長)には、「おいしいイモ」づくりを目指す仲間が集う。会員は約30人。栽培や病害虫防除技術などを、情報交換しながら学んでいる。
研究会は、昨年4月に発足し12月までに5回開いた。基本技術は、ベテランの上地会長が手ほどき。会員らが体得して持ち寄る現場の情報が、全体の技術水準を上げている。
昨年暮れ、栽培の現場を見て回る現地検討会が行われた。上地会長の畑では、加工用の「ちゅら恋紅」を栽培。反収は約1・8㌧で約100㌔が、ゾウムシ類の被害を受けて、商品にならないという。
研究会が事務局を置く県農業改良普及課は、上地さんの畑をゾウムシ類に対するプリンスベイト剤の有効性を実証する展示圃に設定した。2月に収穫し、収量や商品化率を調べる。
上地会長は「宮古のイモは、おいしいと評判が高い。日本一のブランドにしたい」と意欲を見せる。
伊良部支部長の佐和田恵正さんは、イモの歴史や有用成分などに詳しい。佐和田さんによると、60年ほど前に当時主流だった沖縄100号にテングス病が蔓延し、戦後の食糧難に追い打ちをかけていた。
1951年には伊良部仲地の平安山金三さんが、テングス病に強い品種(平安山7号)を選抜。宮古中に広まり、食料事情を改善した。平安山7号は、ほとんどの農家が栽培していたという。同試験場長の垣花実記さんが育成した「宮農36号(紫イモ)」も主要品種に育った。宮農36号は、読谷村で栽培され「紅イモ」の名で有名になった。
イモの表皮に近い部分は、ポリフェノールの一種のクロロゲン酸を多く含む。紫色のイモは、血圧低下や便通を促進。オレンジ色は、動脈硬化や老化防止に効果があるという。イモの葉もβカロチンを多く含む。