行雲流水
2012年1月11日(水)22:35
「12年度予算案」(行雲流水)
今年は、沖縄が自立へ向けて羽ばたく重要な年になりそうだ。その根拠は、政府の沖縄関係予算案にある。野田首相は「柱は一括交付金。一種の特区のような制度設計だ」と述べている
▼沖縄振興一括交付金は1500億円余。特徴は、ソフト事業(人材育成や産業振興)への傾斜配分。ソフト事業に約800億円を投じ、しかも、その使途を県や市町村の自主計画に委ねた
▼従来の補助金は、国の指示や仕様に従えばよかった。新年度は違う。指示待ち体質から脱却し、自ら企画立案することが求められている。宮古島市のやる気と力量次第で、宮古の将来が左右される
▼リンカーンが奴隷解放政策を実行したとき、多くの黒人はとまどったという。自由に生きよと言われて不安になり、以前の制度を懐かしんだ。上からの改革は、往々にしてこうした現象を生みがちだ
▼基礎自治体である宮古島市が生き生きと活動するためには、実務知識に精通していることはもちろんだが、今年の最重要課題は、ソフト事業を企画立案する体制の強化ではないだろうか
▼宮古島の将来は、人材育成にかかっている。役所をはじめ、学校教育、産業技術開発などに新機軸を打ち出す必要がある。地元で実施可能な事項もあれば、派遣・招聘・委託など外との連携が必要な事項もあろう。たとえば、宮古牛での霜降り肉生産にどう挑戦するか。試験研究、実証試験、モデル事業などに、これらの多様な手段・方法の有機的な組み合わせを立案すればいい。知恵の値打ちに目覚める時がきた。