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2012年1月21日(土)23:05

古波蔵 春海さん(34歳)/バイオエタノールプロジェクト推進室主任

水、農業ともに健康な島に


古波蔵 春海さん

古波蔵 春海さん

 製糖後の残りかす(糖蜜)からエタノールを造るための生産施設は、沖縄製糖工場東方に高くそびえる。5人のスタッフの中で紅一点、ほのかに甘いラボ(実験)室で糖蜜を酵母で培養する実験などに従事する古波蔵さん。濃度99・5%以上のエタノールにするため月2週間の集中作業は、施設内が24時間フル稼働になり気が抜けないという。


 「宮古で還元型農業を目指すにはサトウキビ栽培が最適では」と熱っぽく語る。国がCO2削減のために2004年度から、サトウキビの副生残渣を使った燃料用エタノールを製造しようとスタートした実験プロジェクト。「2010年に新設された大規模工場は宮古島のガソリン車3万5千台すべてをE3化可能な規模とした」と事業の成果を評価する。

 これまでサトウキビの粗糖製造から残渣として取り出される糖蜜は年間7千㌧もあり、プロジェクトはこれまでもてあまし気味だった糖蜜を原料にバイオエタノール燃料を生産し、技術を確立することが目的だった。「地下水保全や蒸留残渣液を使用した有機肥料による畑の地力の増強、残渣酵母の家畜飼料として還元するなど、循環型農業にも寄与できると思う」と農業の将来を見据える。

 実験だけではない。施設の視察や見学に来る団体への案内役も。「島外の企業、議員団、それに島内の学校、サークルなど、環境に関心を示す多くの人たちが訪れる。月平均100人は下らない。こうした人たちに正しく理解して頂くために、その年齢や立場にあった説明ができるよう努力している」と真摯。

 幼いころ理科が好きだった。そのうち両親の仕事を見ていて農業、特にキノコ栽培などをやりたいと思い大学は農学部に進んだ。将来、宮古で環境に優しい農業を目指したいと話す古波蔵さん。「この美しい古里の海や農業を、いつまでも美しいままに保つために、環境と農業は切り離せないと思う。そのために働きたい。特に子どもたちに、しっかりと農業や水の大切さを話し健康な島を託していきたい」

 古波蔵春海(こはぐら・はるみ)1978(昭和53)年1月17日、下地字上地に生まれる。宮古高校を卒業後、宮崎大学農学部(農林生産学科)を経て琉球大学農学部(生物資源科学科)の修士課程取得。沖縄県農業研究センター・九州沖縄農業研究センターで非常勤勤務。2008年、りゅうせきバイオエタノールプロジェクト推進室に。

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