シリーズ 島のくらしと環境<9>
「周辺の海は自分の庭先」の意識で
四方を海に囲まれた島の生活は、その海にどれだけの恩恵を被っているかわからない。ところが自然の恵みを当たり前として感謝を忘れ、そのため良くない環境に追いやっている現状がある。北海岸は急勾配の道路が多く、安全のためにアスファルトの道路が整備されるが、直接砂浜に向けられる道路は地上の汚水を運ぶことになり、今では白い砂浜が黄ばんできている。
釣り天国といわれる宮古島。島外から釣りマニアが来島するのも珍しくなくなった。地元の釣り人たちは、それぞれのポイントを確保していて、季節に合わせて釣れる魚も認識している。ただ、中には餌のパッケージや空き缶、弁当の生ごみなどを放置して周辺を汚したり、危険な釣り場に一人で行くなど無謀な釣り人たちも少なくない。宮古島海上保安署の栗谷美則署長は「マナーを徹底してほしい」と注意を促す。
身近な釣り場では、ごみの山をよく見かける。ごみ袋が一つ置かれると、次々と増えていって大量の放置ごみになっていたりする。中には餌や弁当の残りの生ごみが、野犬や野ら猫によってかき乱されたり、風にあおられて海に飛ばされるなど、海の環境を汚すことにつながる。栗谷署長は「持って来た物は必ず持ち帰るという習慣を身に付けてほしい」と話す。
また、釣り人のマナーとして、命を守る意味で救命胴衣の着用、一人でなく複数で行くようにと話す栗谷署長は「釣り場は意外と危険な場所も多く、何か起きた場合に連絡が取れるように複数で行くのが望ましい。実際事故も起きている」と話し、安易な格好で釣りに望むことへの危険を促した。
栗谷署長は、行き場のない漂着ごみにも話がおよび、今後、国際問題としてみんなで考えていく必要があるとし、「ごみ問題を次世代に残さないよう、大人が責任をもって考えて行くべきだ。島やそこを囲む海は自分の庭先という意識で、きれいにしていくことが望まれる。ごみの回収には行政だけでなく企業にも協力してもらって、みんなで守っていくという意識が大切」と話す。