かんしょPJ 本格始動/補正予算に2424万円
芋ペースト加工6月開始へ/12年度の生産120㌧目指す
以前宮古の人々の主食にもなっていた伝統の芋の復活を目指す市の宮古島産かんしょプロジェクト事業は、芋をペーストにする機械のリース費用1577万円と建物の改造工事費847万円の計2424万円が一般会計に補正計上され、本格始動した。機械の1日当たりの加工能力は、16㌧。2月上旬に着工し、4月下旬試験運転に入り、6月からの操業開始を目指す。施設運営は、民間に委託する。2012年度のペースト(1次加工品)生産は月に10㌧、年間120㌧を目標にしている。
芋生産はカンショ研究会の会員のうち、市の事業に賛同する農家が中心になるとみられる。事務局のある県農林水産振興センター農業改良普及課の担当者によると現在の会員は50人で、昨年の11~12の2カ月の間に倍増した。
市農政課の赤嶺淳幸係長は「芋は宮古の人にとって、なじみ深い作物。市の普及事業が始まるのを機会に、また植えてみたいと思っている人が多いのでは」と会員増の要因を推測。ペースト用の原料芋は、十分に確保できると自信を見せている。販売先は、地元をはじめ沖縄本島や本土まで広げる。
下地にある市農村女性の家を改造する加工施設には商品開発室も設けて特産品を作り、そのノウハウは、市内の菓子店に提供する。市は操業を前に、すでに紫芋ケーキや芋ジュース、ようかん、ゼリーなどを開発。ゼリーは学校給食にも充て地元消費を増やす。
市は現在までに、市有地の30㌃に配布用の苗を植えた。希望する農家に、4~5月ごろの無償配布を予定している。
ブランド化に向けては「日本最古の芋の伝来地」を前面に打ち出す。1597年に砂川親雲上旨屋(うるかぺーちんしおく)が、漂着地の中国から芋の苗を持ち帰り普及させたという歴史記録を踏まえた。
10年後の2021年度には95㌶に植えて、生産量2520㌧、販売額を3億7800万円に持って行く計画をしている。