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行雲流水
2012年2月1日(水)22:40

テレビが伝える豪雪映像(行雲流水)

 テレビが伝える東北地方の豪雪映像。その映像を見やりながらその昔北に向かう電車で同席した一青年を思い出した。正確には青年の言葉をである。車内客の大半は山形県で催される全国大会参加の沖縄県代表の団体だった


▼初めて果てしない雪景色を目にした南の島の数名は歓声をあげた。すると山形県の雪深い山村に住むという同席の青年は顔をくもらせ「雪はそんなにいいものですか」と言った

▼三好達治の二行詩「雪」(太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ/次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ)や詩人伊藤信吉の「雪は人を幻想の世界にさそいそこに数々の物語を育てた」「民話や雪女の物語など、そんな幻想に人をさそう」の鑑賞評

▼それぞれに思いを託して純白純粋の雪景色を賛美すると青年は不機嫌な顔で「違います」と反論「雪は地獄です!」と言い放った。テレビが伝える豪雪の世界。大量の積雪に通路を奪われ近隣との交流なく孤立する日々

▼連日繰り返される過酷な屋根の雪下ろし。手抜きすると重量かさみ積雪に押しつぶされる住居。恐怖におびえ安眠できない長い夜。青年の言葉「地獄です」が痛く重くよみがえってくる

▼青年は沖縄の農家がうらやましいとも言った。雪国の冬、農家はハウス栽培にも多大な燃料費を支出する。沖縄の太陽はただ。生産コストは抑えられると言う。が、昨今異常な長雨と曇天続きで日照不足となり太陽の恩恵は県内農家にはとどいていない。

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