508柱に哀悼ささげる/宮古南静園で慰霊祭
国立療養所宮古南静園(田村謙二園長)の慰霊祭が旧盆中日に当たる23日、同園納骨堂で行われた。入所者や園の職員、関係者らが参列し、1931年の開設以降、同園で死去した508柱に哀悼の意をささげるとともに、国による強制堕胎のため生まれることができなかった水子の御霊(みたま)を慰めた。
夏の厳しい日差しが照りつけるなか執り行われた慰霊祭では、参列者が全員で黙とうをささげた後、祭壇に花を供えて冥福を祈った。
田村園長は「96年にらい予防法が廃止され、昨年はハンセン病問題基本法が施行された。これはわが国の社会全体が問題解決に向け取り組みはじめたことの証し」との思いを示したほか、「園の高齢化は進んでいて平均年齢は82歳を超えているが、来年も現在の在園者が全員そろって慰霊祭を迎えたいと願っている」と語った。
入園者自治会の宮里光雄会長は、第2次世界大戦中の宮古島空襲では110人の入所者が砲撃や飢え、マラリアなどにより命を失った事実を述べた上で「この戦争による人権侵害、人生被害の実態は風化させることなく語り継ぐことが求められる」と訴えた。
同園には現在、90人が入所していて、平均年齢は82.4歳と高齢化が進行している。納骨堂には、遺族らに引き取られた遺骨を除き、274柱が納められている。