「災害に想定外ない」/県が観光危機管理でセミナー
官民連携を訴え
災害時の行動を考える県主催の観光危機管理セミナーが21日午後、宮古島市中央公民館で開催された。ツーリズム・マーケティング研究所社長の髙松正人さんが基調講演を行い、「(災害に)想定外はない」と指摘。その上で災害発生時に的確な判断と行動で市民と観光客の安全・安心を確保できる体制づくりの重要性を説いた。同計画では「行政と民間事業所の連携が不可欠」と述べ、地域全体の取り組みを促した。
セミナーには、行政機関をはじめ宿泊業、レジャー業、交通関係業など観光関連団体の代表らも出席。災害が発生した場合、安全な場所はどこなのか、市民と観光客をどのように安全な場所に誘導するのか、観光立県を標ぼうする沖縄県として取り組むべき課題などについて理解を深めた。
観光危機管理について髙松さんは、観光が沖縄の基幹産業であることや、危機に遭遇した観光客の安全を確保し、無事に自宅に帰れるよう支援することが沖縄観光の持続的発展につながると主張した。
その上で、東日本大震災が発生した時、テーマパークやホテルなどの民間団体が取った行動を事例に挙げた。地震発生後、施設内にいた7万人の客の安全を守り続けた東京ディズニーリゾートや交通機関がまひして自宅に帰れなくなった人を招き入れたホテルメトロポリタンを紹介し「あの東日本大震災の後、誰もが『想定外』を口にしたが、このようにして客を守り続けたところにとっては想定外の災害ではなかった。彼らは効率やお金より安全を重視している。日々の安全に対する投資や訓練を怠らない取り組みのおかげで、従業員の一人一人が何をすべきかを分かっている」と事前準備の重要性を訴えた。
髙松さんは、最後まで危機に対する備えの大切さを繰り返し、「しっかり段取りを考えて訓練しておけばスムーズに対応できる。実際に災害が発生したときにマニュアルを開いている時間はない」と述べた。
災害と観光について「観光危機管理は観光地の評価を代えていく」と述べ、災害発生時の対応が観光産業に大きな影響を与えることを指摘した。また、「観光客の安全を確保し、無事に自宅に帰すためには、行政と民間が手を組まないと対応はできない」と話し、行政と民間事業所が連携して災害時の行動計画を立案するよう呼び掛けた。