行雲流水
2012年2月24日(金)22:24
「乾隆36年の大波」(行雲流水)
子どもの頃、人が恐れるランクとして「地震・雷・火事・親父」と聞かされた。現在は若干違うものの、地震はやはり怖いものである。やがて1年目を迎える東日本大震災。大津波の恐怖を報道で知らされた
▼半世紀前の1960年、チリ地震(マグニチュード8・5)による津波は、太平洋を越えて日本、沖縄に押し寄せた。沖縄本島の北部では屋我地大橋の破壊、道路決壊、家屋破壊などの被害を受けた。宮古では漲水港に津波は上がったが、被害は軽微であったという
▼チリ津波より約190年前、石垣島沖を震源地とするマグニチュード7・4(推定)の地震にともなう大津波が起きた。「乾隆36年の大波」(いわゆる明和の大津波)だ。八重山で9313人、宮古で2548人の死者が出た。宮古では12か村に被害は及んだが、特に宮国・新里・砂川・友利の4か村の被害は甚大であった
▼宮古島近海を震源地とする震度4以上の地震は、過去10回観測されている。戦前の1938年以降70年余で、50年代1回、60年代2回、70年代3回、90年代2回、2000年代1回
▼「乾隆36年の大波」を伝える碑が、下地字与那覇の前山にひっそりと建っている。東日本大震災以降改めて見直されたのか、市教育委員会は文化財指定に向けて動いている
▼碑は高さ64㌢、幅29㌢、厚さ13・5㌢、台座高10㌢の珊瑚石灰岩の小碑だ。風雪に耐えてきたが文字はまだ読める。後世に伝えるためにも市教委の努力に期待したい。