PAC3、宮古島到着/野原空自基地に移送
北朝鮮ミサイル警戒で防衛省
北朝鮮の弾道ミサイル発射実験とみられる「衛星」の打ち上げに対し、広島県呉市の海上自衛隊呉基地から移送された地対空誘導弾パトリオット(PAC3)2基が3日夕、宮古島に到着した。同日夜には、配備先となる上野野原の航空自衛隊宮古分屯基地に移送された。ミサイルは12~16日に発射が予告されており、防衛省は不測の事態に備え迎撃態勢を整える。PAC3が宮古島に移送、配備されたのは初めて。市民団体などは「実戦配備に向けた地ならしが目的」と反発している。
平良港下崎埠頭には午後5時30分ごろ、PAC3を積み込んだ海上自衛隊の輸送艦おおすみ(全長178㍍、排水量8900㌧)が到着した。
20分後には輸送艦の側面の搬出口が開き、約1時間後にはPAC3を搭載した車両2台ほか、レーダー車両や電源車など計28台が次々と陸揚げされた。
午後8時ごろには港を出発。車列は宮古島署のパトカーを先導に、平良荷川取の臨港道路-国道390号(通称・バイパス通り)-宮古空港-平良宮国線をそれぞれ通り、午後9時ごろには上野野原の空自分屯基地に搬入された。
予定ではPAC3を港に陸揚げし、翌日の早朝に同基地に搬入する計画だったが、荒れた天気のため同日中に搬入した。今後、防衛省は発射機やレーダーなどを設置し、動作確認の作業をする。
同艦には航空自衛隊約100人が搭乗。防衛省は空自と海上自衛隊を合わせた計200人を宮古島に配置する。
港にはPAC3を一目見ようと駆け付けた市民が輸送艦から陸揚げされる模様を不安そうに見守った。
また、配備に抗議する市民団体や労組のメンバー約60人が港入り口で抗議集会を開催。「自衛隊はいらない」などと書かれたプラカードを手に抗議の声を上げた。
周辺にはパトカーが警戒するなど、港は物々しい雰囲気に包まれた。
輸送艦おおすみ到着に先立ち、同日午後3時10分ごろ、宮古空港に人員輸送で陸自UH60救難ヘリが着陸。那覇基地第15旅団所属の隊員3人を降ろし、5分後に離陸した。隊員は「宮古島市との連絡係」との任務を受けているという。
PAC3はイージス艦が撃ち漏らした弾道ミサイルを地上から迎撃するシステム。沖縄県内は未配備のため、防衛省は中部地方の部隊を移動させた。石垣島と首都圏への部隊展開も週内に完了する見通し。