シリーズ 島のくらしと環境<14>
黒山の実態は堆肥だった
「水道水源保護指定地域に黒山があります。これって地下水に影響はないのでしょうか」。読者のこうした疑問に答えるかたちで黒山の実態を突き止めることにする。
平良字荷川取のサガリバナ観察で今では観光スポットとなる添道地区高台で黒山が確認できる。周りで誰か作業をしている訳でもないし、初めて見る人にとっては異様に映るようだ。実は雑木などを粉砕して牛ふんや鶏ふんなどを混ぜて作った堆肥とのこと。主に土地整備事業の仕上げにまかれる。
持ち主は、産業廃棄物中間処分業のニューサウスウインド(砂川盛三社長)。砂川社長は「リサイクル法が変わって、CO2発生の原因となるごみは『燃やすな、埋めるな』ということになった。そのために土地整備事業などから出る生木は、粉砕してチップにし肥料として、土に戻すようにしている」と話す。
2000年からこの作業を担っている砂川社長は「近年、宮古の土壌は有機物が少なく、植物の生長を補うために化学肥料や農薬を使っている。そうすることによってさらに土を痩せさせている。土作りの原点は土壌を有機質にすること。菌や微生物が土を活性化してくれる。元々、土には放線菌(土壌菌)がいるが、宮古のほ場は乾燥しやすい上に深くすき込んでしまうので菌が少なく植物がうまく育たない」と宮古の農業を憂える。
年間2000㌧の生木をファイバーチップにし、木材チップ堆肥を生産しているニューサウスウインド。リサイクルで海の嫌われ者オニヒトデを混ぜて堆肥にする試みも行っている。砂川社長は「普通の土とオニヒトデ入りの堆肥と木材チップ堆肥を比較してみたがやはり、自社堆肥使用の成長は養分を吸収する根の張り具合が違う」と話し、成長に大きな差があることを確認した。
黒山については「木材チップ堆肥です。それに堆肥中の温度は約80度あって微生物が活発に動いているので、地下に浸透することはないし、あったとしても悪い物が流れて地下水を汚染するということはない」と断言する。黒山の実態は分かったものの、やはり誤解を生まないためには表示板の設置が望まれる。