「頑張りを褒めよう」/宮古ライオンズクラブ50周年記念講演
独自の教育論を展開/尾木さんがユーモアたっぷりに
法政大学教授で教育評論家の「尾木ママ」こと尾木直樹さんの講演会が26日夕、マティダ市民劇場で開かれた。尾木さんのユーモアあふれるトークは聴衆で満杯となった会場を終始、笑いの渦に巻き込んだ。テレビでお馴染みの「おねぇ言葉」によるトークの中にも教育学者としての示唆に富んだ持論を展開。子育てで「褒める」ことの大切さを強調し、子どもの声に耳を傾けることの重要性を分かりやすく説いた。
宮古ライオンズクラブ(高里俊夫会長)の結成50周年記念事業として開催された同講演会には約800人の聴衆が訪れた。ホール袖の出入り口から登場した尾木さんは、聴衆と握手を交わしながら舞台に登壇。フジテレビ系列で現在放送中の「ホンマでっかTV」の出演裏話しなどで聴衆をひきつけ、子どもの教育は胎教から始まっていることなどを講話した。
舞台に設けられたホワイトボードに「基本的信頼」と書き記した尾木さんは、教育心理学の中で重要な用語であることを説明し、親子関係で求められる最も重要なことだと説いた。その上で、「授乳する時も子どもの顔を見て、語り掛けてあげることが大事だ」と話し、「親子関係のターンテイキング(やりとり)こそが、人格形成に重要な要素になる」と説明した。
尾木さんは、江戸時代の寺子屋教育には体罰がなかったことや、頭の良さを褒めることよりも、頑張ったことを褒めることの方が成績が伸びるという米国の教育研究事例などを紹介した。
また、サッカー日本女子代表「なでしこジャパン」の佐々木則夫監督の独特の指導方法や澤穂希選手のウィークポイント(弱点)克服法などのエピソードに触れながら、「褒める」ことの教育的効果を紹介。「怒らなければならない場面でも、むしろ褒めて共感してあげることの方が、よほど大事だ」と述べ、「どうしたの」と優しく語り掛け、相づちを打つことによって、心を開くことが教育では何よりも重要だという持論を展開した。
会場は尾木ママのユーモアあふれるトークの中にも示唆に富んだ一流の教育論に大きな拍手を送っていた。