ホテル棟売却で合意/マリン社・漲水社
従業員の継続雇用など条件/譲渡先、9月上旬に公募へ
第三セクターの宮古島マリンターミナル社(社長・下地敏彦市長)と漲水リゾート開発社の下地米蔵社長がホテル棟売却について5日、市役所平良庁舎で会見し、現入居者の漲水社とマリン社は当該ホテル棟を第三者に譲渡することで合意し、この日市役所平良庁舎で調印したと発表した。
合意の内容は7月28日に那覇市内のホテルで開かれたマリン社取締役会でホテル棟売却に関し了承された①希望する従業員の継続雇用②ホテル宴会場を少なくとも10年間は継続する③入札者の本店所在地が宮古島市の企業-など、漲水社が提示していた条件も含まれており、九つの条項からなっている。両社が合意に至ったことで今後、譲渡先を公募するための要件づくりに着手し、9月上旬をめどに公募する予定。
合意書では、譲渡後、明け渡しまでの間、漲水社はマリン社に対し毎月1000万円を賃料相当損害金として支払うと定めている。
また、ホテルの什器(じゅうき)・備品については漲水社がマリン社に対し、1億9000万円の価格を書面で提示しており、今後作成される公募要項にこの金額が反映され、落札者はホテル棟落札額に什器・備品代も加えて支払う。
調印に至ったことで下地市長は「長年解決できなかったが、漲水社と真摯な話し合いの結果、合意を見ることができた」と述べた。さらに「この合意に基づき早い時期にマリン社の取締役会で承認を受け、金融機関に対しても公募による売却を説明したい」と話した。
漲水社の下地米蔵社長は「これまで裁判の流れもある中で、マリン社の社長とも意見交換する機会がなかったが、下地市長就任以来毎月一度程度の話し合いを進め、信頼関係を築けた。宮古島の観光に寄与してきたが役割を終える。職員の雇用が継続され、生活が安定できるような合意になった」と調印に至った経緯を話した。