平良港整備が大きく前進
離島港に特別配慮/来年度新規事業化目指す
安定物資輸送、災害時への対応に不安を抱える平良港の整備について来年度、国の新規事業として予算措置される可能性が出てきた。3日に前原誠司国土交通大臣が発表した「直轄港湾整備事業に係る選択と集中」についての発言で、平良港など全国12の具体的な港名を挙げて「特別な配慮として生活インフラとして必要最小限の直轄事業を新規も含め実施する」との見解が示されたことで、先行き不透明だった平良港の整備が現実的なものになった。これを受け、下地敏彦市長は4日、市役所平良庁舎で会見を開き「平良港の状況について理解してもらったことに感謝している」と述べた。
平良港の整備については、全国に103ある重要港湾(平良港含む)から「重点港湾」に選ばれることが条件となっていたが、3日に発表された43の「重点港湾」に平良港は選ばれず、県内からは那覇と中城湾が選ばれた。
しかし、前原大臣は「離島としての、生活インフラとしての港の整備が必要なものについては例外的に必要最小限の国の直轄事業、新規も含めてやらせていただく」とコメント。
事業化に向け大きく前進したことに、下地市長は「ほっとした。何度も足を込んで要請した結果、理解してくれた。大臣が具体的に港の名前を出してくれたので国交省においては平良港整備の事業計画が認められたと理解している。今後は財務省との調整になる。初年度の予算は調査費が付くと思う」と述べた。
宮古島市や関係団体はこれまで、現在の平良港は大型化する貨物船舶に対応しておらず、さらに大規模地震に対応した耐震バースの整備も行われていないことを指摘し、早期の整備が必要と訴え、関係省庁、県選出国会議員などに要請を行ってきた。
要請では、宮古島は離島で船舶以外の大量輸送体系が無いことや市民生活を守り、地域の活性化の観点からも整備の必要性を強く求め①平良港の重点港湾指定② 平良港漲水地区再編事業の2011年度新規着工③平良港2011年度事業費の確保④平良港長期施策の推進-を求めていた。
こうした課題を解決するため、市は2年前に港湾計画を改定し、平良港漲水地区再編事業として国に事業採択を求めていたが、認められなかった。
計画では、大型船舶の接岸をスムーズにするために第2と第3埠頭の間を埋め立てて埠頭用地を確保し、大型の旅客船舶も容易に横着けできる泊地を設けているほか、耐震バースを整備し、大規模災害発生時の緊急物資輸送などへも対応した整備計画となっている。
市によると同事業の予算規模は約138億円で国庫補助が95%、残りの5%が市の負担となる。