旧盆送り日/住民総出で大綱引き 上野・宮国
西に軍配、豊漁約束
毎年、旧盆(ストゥガツ)最終日の「送り日」に市上野字宮国で行われる伝統行事「宮国の大綱引き」が24日夜、宮国公民館前の通りで盛大に行われた。「東里」と「西里」に分かれた地域住民らは、大綱を引き寄せようとこん身の力で引き合った結果、西が2勝1敗で制し、今年の豊漁が約束された。
毎年、その年の中学2年生が主役となって運営される宮国の大綱引き。今年は東里5人、西里2人の計7人の中学2年生が中心となって準備を進めてきた。当日は午前8時ごろから、大綱の材料となる「キャーン」(和名・シイノキカズラ)を上野地区だけでなく下地地区などからも集め、午後3時からはそれを編み込んでいき大綱を完成させた。
午後9時ごろから東西の住民が公民館前に集まってくると、中学2年生やその親らが中心となって「綱引き踊り」と呼ばれる踊りを披露。その後、住民らが担ぎ上げた東の雄綱と西の雌綱が連結されるころには会場の熱気が一気に高まった。
小さな子どもや観光客ら多くの人が見守る中、綱引き開始。東西とも声を出し、息を合わせながら懸命に大綱を引き合った。第1戦は西、第2戦は東に軍配が上がり、ともに1勝で迎えた第3戦。どちらも譲らぬ引き合いを見せたが、最後は西が力で引ききり、昨年に続く勝利を決めた。
綱引き終了後、大綱の御嶽(うたき)への奉納と、「デーロイ」と呼ばれる東西での押し合い勝負を行い、最後は全員でクイチャーを踊り締めくくった。
宮国地区の渡真利剛区長は「宮国にとって大綱引きは、自分たちが生まれる前から行われている年中行事で強い思い入れがある。無事に開催でき喜んでいる。地域のみんなに感謝したい」と語った。
宮国の大綱引きは、1995年3月に旧上野村の無形民俗文化財に指定。豊穣(ほうじょう)を祈願する祭りだが、その起源は分かっていない。農作物の収穫を祝い祈願する御願(うがん)綱、または災厄を追い払うため、雨ごいや農作物の豊凶を占うなどの意味があると伝えられている。