生コン価格が急激に上昇
沖縄本島比8000円以上/背景に「原料の輸送費」
宮古島市の生コンクリート価格が1年前に比べ急激に値上がりし、1立方㍍の価格が沖縄本島に比べ8000円以上も高くなっているのが分かった。一部の企業や市民からは「生コン組合が価格をつり上げて独占的に利潤を得ている」との指摘があるが、生コンを共同販売する宮古島生コン協同組合(豊見山景順代表理事)は「原料の全てを沖縄本島から移入しており、海上輸送費などのコストが消費者価格に反映されている」と説明している。
構造計算書偽造問題を受け、耐震性が強化された改正建築基準法に伴い、宮古の生コン業界では、地元産石灰岩の「白砕石」が使えなくなり、沖縄本島から「黒砕石」の移入を余儀なくされている。
また、数年前までは、生コンの原料となる川砂を台湾から輸入していたが、輸入が禁止となり、沖縄本島からの海砂と砕砂の混合に頼るようになった。
このため、1立方㍍当たり1万7700円だった生コン価格が、現在は2万1000円に上昇した。
一方、石垣市は原料の砕砂と黒砕石は地元で調達できることから、輸送費などのコストが削減され、その分、価格を低く抑えることができる。
また、組合が結成されていないことから、価格は生コン企業各社の自由競争となっており、これが価格低下につながっている。
一部の企業はフィリピン産の川砂を輸入し、地元産の砕砂と混合して販売するなど、企業努力をしながら値下げ競争に追随しているという。2012年度県土木建築部の「実施設計単価表」よると「強度21ニュートン15スランプ」の同一規格の生コン価格は宮古島市の2万1000円に対し、石垣市は1万6000円、沖縄本島は1万2700円となっており、宮古島市の価格が突出していることが分かる。
こういった価格差を埋めようと宮古島生コン協同組合は、石垣と同様に沖縄本島から移入した砕砂とフィリピン産の砕砂を混合することも試験的に実施した。
しかし「フィリピン産のサンプルがその都度違っていたりするなど製品の信頼度が低く、高品質を確保することが難しい」(同組合幹部)として導入を見送った。
価格を安く抑えるには沖縄本島から移入する黒砕石を地元産の「白砕石」に切り替えるか、または海外からの輸入に頼るかのどちらかだ。同組合の幹部は「消費者は自由競争で価格が安い方を歓迎するだろうが、法的問題や製品の品質維持、従業員の雇用などにも影響が出てくる」と理解を求めている。
一部の市民や建設業者などから「独占禁止法違反ではないか」「価格カルテル(企業間で協議し不当に利益を上げること)に見える」などの指摘については「私たちの組合は、中小企業等協同組合法に基づき県に申請し許可を受けている」と正当性を主張。価格については「沖縄本島や石垣に比べると確かに割高だが、高品質を維持するためにも原料を沖縄本島から移入するという実情を知ってほしい」と話している。
同組合は、2006年に解散したが昨年、市内の生コン製造5社で再設立し同年4月から共同販売を再開した。
再設立の背景には、安定供給と適正価格販売による経営の安定を図る狙いがある。