「がんサバイバー」体験語る/5人が課題、問題点を指摘
宮古での開催は初/がんフォーラム/県患者会連合会主催
県がん患者会連合会主催の「がんフォーラム~いつでもどこでも支え合える仲間の輪を豊かに広げるために~」が30日、市中央公民館大ホールで開かれた。「がんサバイバー」と呼ばれる、がん体験者の県民5人が登壇し、がん患者が抱える課題や問題点などについて自身の経験を交え語った。同連合会によるがんフォーラムが宮古島で開催されるのは今回が初めて。来場者たちは「サバイバー」たちの話に聞き入っていた。
「がんサバイバー」として今回、体験談を語ったのは、同連合会の会長で県友声会会長も務める田名勉氏、女性がん患者会・宇宙船子宮号代表の吉田祐子氏、悪性リンパ腫患者会グループ・ネクサス沖縄県支部の田仲康榮氏、乳がん患者の会・まんま宮古会長の深澤麗子氏、中部ゆんたく交流会代表の當銘由則氏の5人。
田名氏は、喉頭がんで声帯を切除していて、自分と同様に喉頭を摘出し音声機能に障害を持つ人が県内に300人ほどいることを紹介。「さまざまな問題があり悩みを仲間に相談できないことも多い。病院では解決できないこともたくさある」という問題点を指摘した。
吉田氏は子宮がんを発症。医師への不信感から病院を変えるなどの苦労を経験したが最終的には信頼できる主治医と出会い、手術に成功したいきさつを説明。「子宮頸がんは予防のできる唯一のがん。定期点検を受診してほしい」と呼び掛けた。
田仲氏は、血液のがんと言われる悪性リンパ腫となったが治療により改善。退院後は「無理せず、あきらめず、前向きに、精一杯生きていこうと頑張っている」という。問題点の一つとしては、がん患者にとって治療費が経済的不安要因となっていることを挙げた。
宮古在住の深澤氏は乳がんの手術を沖縄本島の中部病院で受けた。不安は大きかったものの家族や親戚の助けにより前向きに入院生活を送ることができたと振り返る。ただ、通院のための宮古からの交通費が経済的に大きな負担となったことを訴えた。
當銘氏は直腸がんとなり、何度かの手術を経て、現在は二つの人工ぼうこうと一つの人工肛門を体内に持っている。大変な体験を笑いを交えて語る當銘氏は「がんが怖い病気という思いは取り払うべき。前向きに明るさを持って取り組めば怖くない」との持論を示した。
来場者は真剣な表情で話に聞き入っていたほか、質疑応答では、がんに対していかにポジティブに向き合うべきかなどについて体験者と意見を交わした。