多様性ある農業展開へ/下地昌明多良間村長
就任7周年でインタビュー/用水確保に全力/一括交付金は福祉重点
【多良間】多良間村の下地昌明村長は6日午後、村長就任から8日で7周年を迎えるのを前に、同村役場で宮古毎日新聞社のインタビューに応じた。「農業振興と安定収入に向け、農業用水の確保に取り組んできた」と強調。現在、水の安定確保に向けた調査が進められており「サトウキビや葉タバコ、畜産、さらにはカボチャ、トウガン栽培など多様性のある農業が可能になる」と期待を示した。一括交付金の活用については、高齢者を中心とした福祉に重点を置くとし、コミュニティーセンターの建設を挙げた。
農業用水の安定確保に向けては、地下ダム方式から「淡水レンズ取水」と呼ばれる方式に切り替えて現在、導入に向けた地区調査が行われている。
下地村長は、農業用水の確保で①サトウキビや牧草の収量増加と干ばつ被害の防止②野菜果樹などの高収益作物の導入③散水労力の軽減④作付け面積の拡大-などが図られると期待している。
「現在、水タンクで水を運んで畑に冠水して野菜を作っており、家庭で食べられるぐらいの栽培が精一杯。水の安定確保ができれば、食料自給率が上がる。学校給食にも利活用できれば」と展望を述べた。
一括交付金の活用については、高齢者福祉を重点に進めたいとし、具体的には生涯学習や健康増進など高齢者の拠点となる「コミュニティーセンター」の建設を挙げた。
同センターの建設は、現公民館の老朽化に伴うもので、下地村長は「高齢化率が高くなっているが、お年寄りたちのくつろげる場所が少ない。高齢者が楽しめるような施設にしたい」と語った。災害時の防災機能を有した施設としても整備したい考えだ。
観光振興については、ハーリー大会やピンダアース大会などの各種イベントを継続しながら、自然豊かな島づくりで誘客増につなげる。「民泊家庭も少しずつではあるが増えている。地元の人たちが島外者の来島をもてなすという取り組みを進めていきたい」と語った。
行財政改革の一環である職員定数削減については現在、51人の定数に対し、50人であることを説明。「離島であるがゆえ、地域完結型の行政を進めていく中では、職員定数の圧縮はリミット状況だと思う」と述べ、今後は事業などの見直しを含む効率的な行政運営に取り組んでいく考えを示した。
今年度は村制施行100周年を迎える。「先人たちの100年間の歩みをしっかりと記録しながら、この島が発展していくために何をすべきか、課題を見出し解決を図っていきたい」と述べた。