行雲流水
2012年7月25日(水)22:44
「成功率」(行雲流水)
「1000に三つ」─那覇で不動産業を営む経営者の言葉だ。問い合わせや相談が1000件あるなかで、成約までこぎつけることができる物件はせいぜい三つだと言う
▼ある過疎県の東京事務所職員の話―企業誘致を担当し、パンフレットを携えて1年間に約500社を訪問するが、現地視察に来てくれる企業は社内外だ。それでも、達成感があると言う
▼洗剤・化粧品・ベビー用品など手広く生産している本土大手メーカーの話―新製品開発会議に上がってくる案件は年間約50件、うち生産ラインに乗るのは5件程度だが、ヒット商品は5年に1度生まれるかどうかだ。250の新製品アイデアの中から一つのヒット商品が生まれる勘定だ
▼顔の見えない消費者や顧客を相手にゼロからスタートする営業は、たしかに〝しんどい〟。それでも頑張る気力は、宮古の先人たちが残した言葉「ワイドー ワイ」と相通じるものがありそうだ。宮古上布を織り上げていく根気と似ている。そこには忍耐という縦糸と挑戦という横糸がある
▼「ワイドー ワイ」は英語の「ネバー・ギブアップ」と同じ意味だが、他方、粘りがなくポキポキ折れる竹を方言では「サポーリ竹」と称していた。生気がないという意味だが、転じて淡白で飽きっぽいとの意味でも使われていた
▼今では、「ワイドー ワイ」と探究心を燃やすことなく「サポーリ」てしまっている若者が多いように見受けられるが、どうだろうか。「ワイドー ワイ」は宮古人気質の優れた特質の一つだったように思えるのだが。