行雲流水
2012年8月8日(水)22:06
「モーキ塾」(行雲流水)
「沖縄型農業共済制度」が発足した。台風などの天災を克服して生産意欲を維持していくための知恵の一つだ。適切な運営により農業振興に寄与することが期待される
▼経済は、生きものだといわれる。「自由」と「消費者主権」を基調とする市場経済は、清濁併せのんで流れる大河にも似て、そのコントロールと浄化は一筋縄ではいかない。長年にわたって培われた経験と英知が必要だ
▼歴史をふりかえれば、現代文明の元祖は産業革命期に輩出した西欧の科学者、思想家、実践家たちだ。西洋文明が世界の潮流となるにつれ、19世紀後半には日本も〝脱亜入欧〟〝文明開化〟へと衣替えした
▼20世紀の世界は、あらゆる思潮が渦巻く「百家争鳴」の時代だった。そして、偏狭なナショナリズムやイデオロギーにとらわれた経済政策は次々と失敗し、多くの国家が破綻した。日本の敗戦、ソビエトの崩壊などだ
▼昨今は、放漫財政のギリシャや先軍政治の北朝鮮の行く末が危ぶまれている。逆に、中国は昇り竜の勢いだ。「白猫でも黒猫でもネズミをとる猫がいい猫だ」(鄧小平)と導入した市場経済は、社会発展の原理として定着したかのように見える。しかし、13億人の人口をかかえた中国の経験は緒についたばかりだ。前途は多難のようにも思える
▼一方、日本の政治は劣化しつつあるように見える。足元の宮古経済を自力で活性化するためには、〝挑戦〟する気力の醸成や仕組みの創造が急務ではないだろうか。その意味でも、「沖縄型農業共済制度」は時宜にかなった英知だといえる。