サンゴ礁を守ろう/地域づくり支援講演会
大津波への備えも訴え/鹿熊、仲座さんが講演
海洋調査研究会(宮國泰男会長)主催の地域づくり支援講演会が17日午後、宮古島市中央公民館で行われた。県水産業改良普及センター主幹の鹿熊信一郎さんがサンゴ礁の保全について講演し、琉球大学教授の仲座栄三さんは大津波への備えについて語った。サンゴ保全について鹿熊さんは生物多様性の保全と漁業との連携および白化現象、オニヒトデ、赤土の各対策、サンゴ移植など多角的な保全活動の実践を訴えた。
「沖縄におけるサンゴ礁保全」と題して講演した鹿熊さんは、はじめに沖縄のサンゴ礁が減少している現状を示した。1972年に行ったサンゴ被度(1平方㍍範囲のサンゴ礁数)調査では、調査地点の5割以上が75~100%の値を示したのに対し、2004年の調査では9割以上の調査地点で10%未満に減少していると指摘した。
その上で、減少要因の白化や赤土、オニヒトデの被害が深刻だとして対策を促した。白化について「高水温でサンゴの褐虫藻が逃げるために白くなる。1~2週間そのままだと死ぬ」と説明した。対策は「基本は温暖化を止めること」などと話し、地球規模の取り組みの必要性を指摘した。
オニヒトデの一時大発生の原因は分かっていないとしながらも「人間が影響していると言われている」と説明した。「稚ヒトデがたくさんいる場所は2年後に大発生するため、稚ヒトデを探せば良い」と助言。大発生した場合は「全部を取るのは困難。場所を絞って集中的に駆除することが大切なこと」と話した。
赤土は原則として発生源での対策を強調。サンゴ移植は「保全対策の一つで大切なこと」とした上で養殖の実践も呼び掛けた。
最後に鹿熊さんはアジア太平洋地域におけるサンゴ礁保全を訴えた。インドネシアなどの外国では青酸カリを使用する漁法があるとした上で「生物多様性の保全と漁業による持続的な資源利用とのバランスを取る必要がある」と説明し、漁業との連携による保全活動の重要性を指摘した。
津波について講演した仲座さんは、東日本大震災の惨状を写真で示し「自然災害は想定を超える」と危機感を促した。津波による被害の状況を詳細なデータとともに解説し、津波の怖さを分かりやすく伝えた。
1771年に宮古、八重山を襲った明和の大津波も紹介した上で「沖縄にも必ず大津波の再現がある」と指摘。津波への備えとして①自分が暮らす土地の特性を知ること②津波の歴史を学ぶこと-と話した。