宮古牛の地産地消進む/精肉の島内流通活発
昨年正式に商標登録された「宮古牛」の地元消費が活発だ。2011年度、宮古に供給された宮古牛の頭数は計100頭で、前年度に比べて35頭増えた。市内に出回った精肉量は35㌧で前年より10㌧も多い流通量だった。同じく商標登録された「宮古んま牛」を活用した事業展開や行政機関によるPRイベント、食肉のスムーズな流通が増加の要因とみられる。今年も堅調な消費が続いており、地産地消の拡大と宮古牛のブランド化に向けて追い風が吹いている。
宮古牛は宮古で生産された肥育素牛を宮古地域で15カ月以上肥育した黒毛和種の去勢牛および雌牛。出荷月齢は去勢25~35カ月、雌は25~40カ月で、歩留まり等級はAとBに限定されており、肉質等級は2等級以上となる。品質によって特選と準特選に分類。ステーキや焼き肉などで使用される高価で上質な和牛だ。
これ以外の和牛は宮古んま牛とされ、主に牛汁やハンバーグで使用される。
宮古島市などの調べによると、宮古に供給された宮古牛は09年度から右肩上がりで推移。同年度の56頭から10年度は65頭、11年度は100頭まで増えた。
これと比例して市内に流通した精肉量も09年度の16㌧から10年度は24㌧、11年度は35㌧と伸びている。
消費拡大の要因として正式な商標登録によって付加価値が高まったことが挙げられる。この登録で宮古牛の認知度が上がり、広く市民の間に浸透した。
加えて行政によるイベントの拡充が後押し。昨年10月に開催された宮古牛祭りでは宮古牛を使った焼き肉約1000食を試食用として用意したところわずかな時間で完食。んま牛を使用した牛汁やハンバーグも数千食が振る舞われた。
市畜産課の平良恵栄課長は「食べることによって宮古牛のおいしさが一般的に広がっている」と祭り開催による波及効果を一つの要因に挙げた上で、「イベントだけではなく取扱業者による販売の工夫、JAや和牛改良組合のんま牛販売事業などが消費につながっている」と分析し、地元での消費拡大に伴うブランドの確立に期待を込めた。
宮古牛を取り扱うAコープ城辺店には平良など他地区の市民も訪れ、宮古牛やんま牛ハンバーグを買い求める。砂川勝栄店長は「多くの人が宮古牛の良さ、おいしさを知って買い始めている」と話す。ステーキ用の宮古牛は贈り物として購入する市民が多いが焼き肉用などの宮古牛はひっきりなしに売れるという。「今ではみんなが普通に宮古牛を買っているという実感がある」と話し、宮古牛の確実な消費拡大を強調した。
地元消費が伸びている宮古牛だが、一層の地産地消を進めるに当たっての課題の一つに島内でのと畜が挙げられる。んま牛は島内でと畜されているが、格付けが必要な宮古牛は沖縄本島でと畜、格付けしなければならないのが現状だ。消費量をさらに増加させ、格付け師を配置できる環境の構築が求められている。