不活化ワクチン導入/ポリオ予防
市が全額公費負担/30日に第1回集団接種
子どもが受けるポリオワクチンが今月から経口生ワクチンでの接種から注射による不活化(殺したウイルスからつくられる)ワクチンでの接種に切り替わった。宮古島市では不活化ワクチンの価格がこれまでの生ワクチンよりも高額になるが、これまで通り全額公費負担で接種を実施する。同ワクチンの第1回集団接種は今月30日に実施することから、市では積極的な接種を呼び掛けている。
ポリオの予防接種は、これまで使われていた生ワクチン(ウイルスの毒性を弱めたもの)では、ごくまれに手や足にまひ症状が出ることから、今月から全国で毒性をなくした不活化ワクチンに切り替わった。
接種の対象年齢は生後3カ月から7歳半未満までとこれまでと変更はないが、接種方法が飲む方式から注射となり、飲む方式は2回接種だったが注射は4回接種となる。
接種方法としては、すでに生ポリオワクチンを2回接種している場合は不活化ワクチンの接種は必要ない。生ワクチンを1回接種している場合は不活化ワクチンを今後3回接種する。
まだ1回も受けていない場合は合計4回の接種が必要で、不活化ワクチンが未承認だった9月前に不活化ワクチンを1~3回受けている場合は、接種回数が合計4回となるよう残りの回数を受けることが必要となっている。
これまでの生ワクチンは、ポリオウイルスの病原性を弱めてつくったもので、ポリオに感染したときとほぼ同様の仕組みで強い免疫ができる。しかし、免疫をつける力が優れている一方で、まれにポリオにかかったときと同じ症状が出ることがあった。
一方で「不活化ワクチン」は、ポリオウイルスを不活化(殺し)して、免疫をつくるのに必要な成分を取り出し病原性をなくしてつくったもの。ウイルスとしての働きはないことから、ポリオと同様の症状が出る副反応はないが、発熱などの副反応が生じることはある。
そのほか、不活化ワクチンの接種費用はこれでの生ワクチンよりも高額となり、市は新たな負担増となることから、12月以降に補正予算での計上を見込んでいる。
市では20日ごろから対象者に予防接種通知票を送付する予定で、30日の集団接種は平良保健センターで午前9時~午前10時30分まで行われる。2回目の集団接種は10月28日に予定されている。
ポリオ 一般に「小児まひ」と呼ばれており、ポリオウイルスが人の口の中に入って、腸の中で増えることで感染する。
増えたポリオウイルスは、再び便の中に排せつされ、この便を介してさらに感染が広がる。成人が感染する場合もあるが、乳幼児がかかることが多い。
後遺症としては、肢体にまひが一生残ったり、呼吸中枢の神経障害を起こすと死亡することもある。
ポリオウイルスに感染しても、多くの場合、病気としての明らかな症状はあらわれずに、免疫ができる。
しかし、腸管に入ったウイルスが脊髄の一部に入り込み、主に手や足にまひがあらわれ、そのまひが一生残る場合もある。
まひの進行を止めたり、まひを回復させるための治療がこれまでも試みられてきたが現在、特効薬などの確実な治療法はない。日本では、1960年に、ポリオ患者の数が5000人を超え、大流行となったが生ポリオワクチンの導入により、流行はおさまった。
その後、80年の1例を最後に、現在まで、野生の(ワクチンによらない)ポリオウイルスによる新たな患者は発生していない。