震災復興の現状を紹介/江藤善章さん
パンフルートの演奏交え
東日本大震災で未曽有の被害を受けた岩手県宮古市で震災復興支援のボランティア活動を続けているパンフルート奏者の江藤善章さんが4日、働く女性の家「ゆいみなぁ」でコンサートを開いた。素朴で美しいパンフルートの音色を会場いっぱいに響かせた。
江藤さんらは1995年の阪神淡路大震災発生直後から同震災のボランティアとして被災地支援を約15年にわたり続けていた。2011年3月の東日本大震災発生によって、ボランティアの活動拠点を岩手県宮古市山田町に移した。
同コンサート開演前に被災地の様子を撮影したスライドを上映し、表には出にくい被災地の現状を説明した。江藤さんは「災害弱者」といわれる子ども、高齢者、障害者について触れ、「災害弱者は復興段階でも弱者になる要素が大きい」と述べ、避難所から仮設住宅に移る場合でも、障害を理由に仮設住宅が割り当てられないなど不利な状況が実際にあることなどを説明した。
また、被災地では高齢者から「切り捨てられる思いになった」との声を直接聞いており、阪神淡路では精神的な苦痛で多くの人が自殺したことなどを語った。
そのため、江藤さんは「ボランティアは被災者の心の支えを継続して行うことが大事だ」として、1カ所を拠点にして活動を継続する理由を話した。
同コンサートには宮古で音楽活動を行っている江藤さんの友人らが出演し、江藤さんの活動に宮古島からも支援の輪を広げるよう呼び掛けた。
パンフルート アシの茎などを用い、一つのパイプで一つの音が出せるようにして音階状に束ねた管楽器。ギリシア神話のパーンに由来している。パンパイプとも呼ばれる。