「日米共同発表」見直し決議/6月定例県議会閉会
【那覇支社】県議会(高嶺善伸議長)の6月定例会は9日、最終本会議を開き、「米軍普天間飛行場移設の日米共同発表の見直しを求める意見書」と同決議を全会一致で可決した。採決で、「改革の会」の當間盛夫氏と平良昭一氏の2氏は「意見書は仲井真弘多知事にもあてるべきだ」と意見を述べ退席した。また、県執行部議案と6月補正予算案を承認可決し閉会した。
同意見書と決議は、日米共同発表(声明)について「県内移設反対という沖縄県民の総意をまったく無視するもので、民主主義を踏みにじる暴挙として、また、県民を愚弄するものとして到底許されるものではない」と厳しく批判。
さらに、今月23日の沖縄全戦没者追悼式に出席した菅直人首相の「沖縄の基地負担に陳謝とお礼」を表明したことについて、「県民の思いをまったく理解していない行為として大きな怒りを買っている」とし、同声明の見直しを強く求めている。
意見書は首相、外相、防衛相、沖縄担当相あて、また、同決議は米国大統領、同上院・下院議長、駐日米国大使、同米軍司令官あてに送られる。
最終本会議では、このほか県が緊急事業費として盛り込んだ「口蹄疫対策関連」8億3605万円や、宮古-多良間などの離島6区間で行う航空運賃低減化に向けた社会実験「小規模離島空路利活用活性化事業」4億7706万円を含む一般会計補正計50億9252万円などの議案を可決し閉会した。
仲井真知事「図面を描いても無理」/辺野古移設案を批判
【那覇支社】仲井真弘多知事は9日午前の定例記者会見で、政府が米軍普天間飛行場を名護市辺野古沿岸部周辺に移設し、8月末までに具体的な工法を決定するとしていることに対し、「政府が、いくら図面を描いても無理だ」と述べ、政府案の実現は不可能であるとの考えを改めて強調した。
仲井真知事は、「地元の知事、地元市長が反対だと言っているのに、それを押し切ってやるためには『ブルドーザーと銃剣』といわれた、あの方法しかない。今の日本で、いくら基地といえどもやれるはずはない」と述べ、地元頭越しの政府決定の政治手法を厳しく批判した。
また、鳩山由紀夫前首相が今年5月に来県した際、「抑止力」という言葉を用いて在沖米軍基地の必要性を述べたことについて仲井真知事は、「抑止力論は昔から、もともと防衛だとか軍事的には使われている言葉だ」とし、「それが今、分かりましたというのでは説明にならない」と述べ、沖縄の米軍基地負担に対する政府対応についても厳しく批判し、普天間移設をめぐる具体案が、未だ県に対して詳細に説明されていないことに対し強い不満の色を見せた。