肉用牛競り 80日ぶり再開/4月比1頭4万3000円下げ
農家、価格低迷にガックリ
宮崎県で発生した口蹄(こうてい)疫の侵入防止のため5、6月と中止されていた宮古の肉用牛競りが8日、約80日ぶりに再開された。子牛と成牛、12カ月齢超過牛を含む1頭平均価格は30万9000円で、4月と比べ4万3000円の下落。通常より1~2カ月間長く餌を与え経費がかさむ中の下落は、農家にダブルパンチとなった。口蹄疫の風評被害や12カ月齢超過牛の安値傾向などが影響したとみている。競り再開には一様に、安堵の表情を見せていた。
競りは最初から安値水準で推移した。その後、持ち直したが最終的に4月には及ばなかった。
JAによると、728頭が上場され、724頭が取り引き成立した。
総販売額は2億2402万円で、販売体重が21万2000㌔。平均キロ単価は前回比249円安の1053円となった。
子牛1頭平均価格は前月比4万7000円安の31万7000円。12カ月齢超過牛が27万9000円。過齢牛は、長い期間飼育したにもかかわらず安値だった。そうした牛は、肥育管理がしにくいため購買者に好まれないという。
性別の子牛1頭平均価格は、去勢が前回比5万1000円安の35万6000円。雌が27万4000円(同比3万9000円安)。下げ幅は去勢が大きかった。
山形県から訪れた購買者は「値下げは、口蹄疫の風評被害が大きい。中元ギフトの注文がほとんどない。九州の競りも軒並み下がった」と分析した。今回の競り参加者(購買者)は、4月より5人少ない47人だった。
伊良部の長浜国博さんは3頭を約100万円で売り、これは予想を10万円下回った。「餌代だけでも10万円の赤字になる。加えて値下がりはダブルパンチ。競りが再開できたことは、ひとまず安心。今後に向け、頑張っていきたい」と話した。
城辺の下地範昭さんは、1頭平均37万円で11頭を販売した。「系統と発育の良い牛は、市場低迷の中でも高く売れる。今回もその傾向が表れた」と強調した。
競りに先立って、JAおきなわの砂川博紀理事長や長濱政治副市長らがあいさつし、農家の長い間の労をねぎらった。
臨時競りは、17日にも開かれる。
きょう競り再開/多良間 20日遅れ 子牛240頭を上場
宮崎県での口蹄疫発生を受けて中止していた多良間の肉用牛競りが、きょう9日再開される。多良間の競り開催は偶数月と1、9月の年8回。今回の競りは前回予定されていた6月19日より20日遅れで再開される。
同競りには子牛240頭(12カ月齢超過牛含む)が、上場される。
宮崎県での口蹄疫は、4月20日に発生。県とJAは、同県での拡大を受け5、6月の競り中止を決定した。
この間、宮古家畜保健衛生所や村、JAは連携して▽牛舎の一斉消毒▽踏み込み消毒槽の設置▽消石灰(消毒薬)の配布▽家畜市場での消毒ゲート設置-など防疫対策を徹底。今回、宮崎県で沈静化し防疫体制も整い、農家の強い要望もあることから競り再開となった。た。