組踊り、古典芸能披露/多良間八月踊り
住民総出で豊年祈願/仲筋、塩川で正日
【多良間】国指定の重要無形民俗文化財、多良間島の「八月踊り」が23日、開幕した。正日(ショウニツ)と呼ばれる同日は、仲筋(津嘉山正克字長)の住民たちが土原御願で、24日は塩川(豊見城正一字長)の正日がピトゥマタ御願でそれぞれ行われた。舞台では歴史と伝統を感じさせる衣装に身を包んだ演者たちが組踊りや古典芸能などを披露し観客を魅了した。25日は「別れ」と称し両字で行われる。
仲筋の正日は午前10時すぎから行われた。出演者全員が行列を作り、観客に顔見せする「総引き」で幕開けした八月踊りは、若衆踊りや女踊りなどの古典舞踊「端踊り」のほか日舞や琉舞、寸劇を織り交ぜた「狂言」など多彩な演目を披露。約3時間の組踊「忠臣仲宗根豊見親組」は最後まで観衆を引き付けていた。
女踊りを披露した糸数萌さん、伊良皆海音さん(ともに中2)は「大勢の人の前で緊張したけど、踊り終えて充実感いっぱい」と笑顔。2人を指導した伊良皆光夫さんは「ゆっくりとした曲に合わせて踊るのは難しいがよく頑張った」と褒め上げた。
塩川の正日では獅子舞で座を清めた後、男性が大笑いをしながら威勢良く踊る「よーんしー」、「キェー、キェー」との奇声を発しながら勇壮に踊る「棒踊り」、105歳のお年寄りが子や孫を連れ、幸福と豊年を感謝する「長寿の大主」などが舞台を彩ると、狂言では子どもたちがチャイナ服を着て「サンフランシスコのチャイナタウン」を披露するなど、新旧織り交ぜた舞踊の数々で観衆を魅了した。
豊見城字長は「子どもたちの一生懸命な踊りは八月踊りを継承していくという意気込みが感じられる」と話した。
来月は国立劇場おきなわ大劇場で塩川の八月踊りを披露することが決まっている。豊見城字長は「65人が参加する予定だが、力を合わせて塩川の踊りを見せたい」と話した。
ことば
八月踊り 旧暦の8月8~10日に毎年開催される。起源は定かではないが、1637年から宮古、八重山で課されるようになった人頭税を納め終わった「皆納祝い」として、来る年の豊年を願い神前で奉納踊りを行うようになったとされている。「多良間島の豊年祭」という名称で1976年5月に国の重要無形民俗文化財に指定された。