キビの害虫 フェロモン防除へ/福山、比嘉に試験圃場
県農研支所 宮古で初めて実施
サトウキビの茎を食い荒らすイネヨトウ被害の全県的な広がりを受け、県農業研究センター宮古島支所は、フェロモン(雄を惹きつけて交尾をかく乱する物質)による防除を低コストできないかを調べる試験を平良福山と城辺比嘉で実施することになり25日、福山公民館で住民説明会を開いた。防除は、農薬による方法もあるが、幼虫が茎の中にいるために、直接虫まで行き届かず十分な効果を得られないのが難点。県はフェロモンチューブによる防除が最も有効として、県全域への普及を目指している。
イネヨトウフェロモンの現地試験は、宮古では初めて実施する。面積は福山が20㌶、比嘉20㌶の計40㌶。試験には、フェロモンを染みこませたロープ状のチューブを使う。
従来の試験は、チューブを畝に沿って張り、これからフェロモンを発散させていた。今回は畑を取り巻くようにチューブを設置する。現地試験では、従来より手間を省いても効果に遜色がないかを実証する。
宮古島市は今回の試験結果を踏まえ、フェロモン防除を採用するかどうかを判断すると、方針を示している。同試験は市や、製糖工場も連携して行う。
県内におけるイネヨトウの最初の異常発生は、2007年に与那国町で確認された。昨年は伊是名村で被害が大発生。キビの反収は平年の半分以下の2・7㌧に減り、深刻な被害がクローズアップされた。
地域ごとの発生の度合いは、1日にトラップで捕獲する成虫の数で判断する。新垣則雄農業研究センター宮古島支所長によると宮古、伊良部、多良間ともに2匹を超える日が多く「多発」の状態にある。新垣支所長は、「今年は危ない、という認識を持っていただきたい」と気の引き締めを促した。
イネヨトウの幼虫は成長点や節を好んで食べるため、芯枯れや強い風が吹くと折れるなどの被害を起こす。食害痕から赤腐菌が侵入し、糖度を低下させる2次被害もある。
普段の防除については、イネ科が寄主植物になることから、イネ科雑草の除去徹底もかなり有効になると強調した。