史跡・佐良浜サバウツガー 掘削は1771~75年
井戸名研究で貴重/砂川玄正さん 染地氏系図家譜支流を翻刻
「染地氏系図家譜支流」が見つかり、古文書の解読に詳しい砂川玄正さんが初めて翻刻した。これまで佐良浜の市指定史跡「サバウツガー」が掘られた年代は不明だったが、砂川さんは系図家譜の分析から「1771~75年の間に掘られた井戸」と断定した。家譜では、「サバウツ」の表記ではなく「さは沖」と明記されており、今後の井戸名を研究する上で貴重な資料となりそうだ。
同支流では、名乗頭を實(実)を持つ系統。元祖の実忠は1620~32年までの12年間、3間切の一つである砂川間切頭を務めた人物。位階は親雲上。
サバウツガーに関する記事は、6代塩川与人実時の事績に記録されている。実時は1771年4月17日付で池間島の池間目差に就任。75年、首里王府の御物奉行所から御褒書を賜った。
賜った理由として、池間村・前里村(1766年に創設)の2カ村は、佐良浜の耕作地に小屋を作って農業しているが、用水が無く、伊良部村・国仲村に水くみで通っている。宮古島へは舟を漕いで行き水をくんでおり、それで耕作に支障を来している。村頭や二才頭、百姓などと熟談の上、「さば沖」と称する所に井戸を掘り用水を確保した。
8代実与島尻尓也の記録では1850年、伊良部の長浜村は干ばつと長雨に見舞われ、不作となった。それで昔からの真塩焼きを行い、宮古本島で真塩と粟・小麦を交換し、年貢を納めた。
系図家譜は、故砂川正喜が所蔵していた。次男昌之さんが見つけ、砂川玄正さんに翻刻を依頼していた。