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行雲流水
2012年10月26日(金)23:03

「Final stage」(行雲流水)

 人は、老年期になれば心身共に衰えていくことを避けられない。老化現象は歴年齢と生理的年齢との個人差が大きいといわれる。65歳をめどとする老年期であるが、これまでの生活習慣の違いが顕著化するのだろう


▼厚生労働省が平成19年に発表した「第20回生命表」によると、誕生した男子の数を10万人として65歳時点での生存数は8万5664人である。ところが65歳を境に健康リスクは大きくなる。うつ病やアルツハイマー型認知症は増加し、悪性新生物(がん)、心疾患や脳血管障害等による死亡は急速に高まり、70歳での生存数は7万9195人となる

▼老年期のそのような健康に関するデータを厚生労働省は巧みに利用したとしか思えないのが、年金支給年齢を65歳に引き上げ、65歳までの就労を企業に義務付ける制度を組んだことである。公的団体や企業のほとんどは60定年であるのが現状であるが、年金の受給が65歳からということになれば60歳から65歳までの間は目に見えないリスクを抱えて働かなければならなくなる

▼厚生労働省が10月18日に公表した『平成24年「高年齢者の雇用状況」集計結果』によれば65歳以上まで働ける企業の割合は中小企業で51・7%、大企業が24・3%である

▼この結果を踏まえて厚労省は、60定年を迎えた人でも希望する者全員の雇用を確保するため企業に対して個別指導を強力に実施し、65歳まで働ける制度の導入に取り組むよう積極的に働きかけるとしている

▼そこには企業の経営難や労働者の心身の老化は問題にされていない。企業にとっても高齢者にとっても酷なことになったものだ。

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