付近住民「迷惑施設」強調/と畜場説明会
市 「都市計画上支障ない」/反対根強く、再度開催へ
「宮古都市計画と畜場(新宮古食肉センター)の住民説明会」(主催・市建設部都市計画課)が15日夜、市役所上野庁舎で行われた。約20人の市民が参加。市は、と畜場建設予定地周辺に重要文化財はないなど、都市計画上支障はないと説明。同施設を都市施設として決定するとしたが、市民から「迷惑施設」とした反対意見が多く理解は得られなかった。
市は再度、説明会を開く予定。また今後、と畜場建設に関わる書類などを誰でも閲覧できる「広告縦覧」の期間を設ける。市民から都市計画法に基づく反対意見があれば公聴会も開催する方針。
と畜場の建設事業は現食肉センター(平良荷川取)の老朽化に伴うもの。昨年8月、同センター取締役会で建設場所を上野野原の旧家畜セリ市場に決定した。
しかし、近隣住民(野原、山中、野原越)から反対意見が噴出。このため、事業主の同センターは近隣自治体役員や住民らを対象に計5回にわたる説明会を開催したが、参加者からはその都度、「迷惑施設」や近くに「聖地」があることなどを挙げ、反対の立場を主張していた。
この日の説明会では参加者から、と畜場の建設そのものに対しては賛成の立場を表明したものの、多くは「事前に地域住民の意見を聞くべきだった」「複数の候補地があると聞いたが、なぜここなのか」などの理由を挙げ、「総論賛成、各論反対」の考えを再度強調した。「隣接する公園(トロピカルフルーツランド)と約30㍍しか離れていない」との反対意見もあった。
市都市計画課は、都市計画法第11条において「都市計画区域については都市計画に、と畜場として位置付けできる」とした法的根拠を示し、「予定地に、と畜場を建設することは問題はないと判断している」との見解を示した。
参加者からは「口蹄疫が発生したら、と畜場に持ってくるのか」「施設が新しい内はまだ良い。老朽化したらどうなる」など、建物建設そのものに反対する声が多く、市が主張する都市計画法に基づく法的手続きについての見解とは最後までかみ合わなかった。
参加者の一部からは、老朽化した施設への対策や消費者への安全・安心な食肉の安定供給を理由に建設に賛成する声も上がった。
説明会は当初1時間の予定が約40分間延長されたが、双方の意見は平行線をたどり、結論を見出させないまま終了した。
参加した市都市計画課の下地康教課長は「付近住民に根強い反対の声があるということを改めて認識した。説明会は再度開催し、都市計画法上、根拠のある反対意見があれば聴取したい」と述べた。