宮古上布の保存継承誓う
真屋御嶽祈願と稲石祭
16世紀末に宮古上布を創製した稲石刀自と夫で下地親雲上の栄河氏真栄を祭ったとされる下地洲鎌地区の真屋御嶽と旧宮古神社跡地で30日、祈願・稲石祭(主催・宮古織物事業協同組合)がそれぞれ執り行われた。神女職の女性や同組合理事長の長濱政治副市長ら関係者が手を合わせ、宮古上布の保存継承と産業振興を誓った。
真屋御嶽碑の碑文によると、下地親
雲上真栄は洲鎌与人、現村長に相当)の時に、中山から帰る途中、逆風に遭って中国に漂着した。たまたま中国に来ていた琉球国の進貢船に便乗し琉球に向かったが、この進貢船も洋中において「ろくとう綱」が切れて漂流しかけた。
その時、水練達者な真栄はすぐに海中に飛び込んで「ろくとう綱」を結び直したので、一行は無事帰国できた。尚永王はその功績をたたえ、真栄を下地間切の頭役に任命した。
真栄の妻・稲石はその栄誉に報いるため心を込めて綾錆布を織り王に献上した。王は喜び天正11(1583)年、真栄を親雲上の位階に就けた。
稲石が織った綾錆布は19ヨミ紺細上布で、のちに宮古上布と称されるようになった。宮古上布は1978年、国の重要無形文化財に指定された。稲石は現在「産業の神」として崇拝されている。
稲石の子孫とされる洲鎌ツルさんが、近く18ヨミ紺細上布の綾錆布の織りに挑戦することから、その機織が注目されている。
稲石祭で、長濱副市長、宮古事務所の黒島師範所長、市議会の平良隆議長があいさつし、さらなる宮古上布の振興に決意を新たにした。