県産黒糖の販路拡大目指す/5・10「黒糖の日」制定
需要低迷に危機感/菓子メーカーにPR展開
【那覇支局】「黒糖の日」制定記念セレモニー・シンポジウム(主催・県含みつ糖対策協議会)が10日、那覇市のパレット市民劇場で開催された。外国産輸入糖や加工糖に押され、県産含みつ糖の需要低迷が続く中、記念日制定によって、本土菓子メーカーなどへの販路拡大を目指したPR活動などを展開する。セレモニーでは下地昌明多良間村長が高らかに「黒糖の日」宣言を読み上げ、健康甘味食材普及と生産農家の意欲向上に向け気勢を上げた。
県産含みつ糖は現在、多良間島、小浜島、西表島、波照間島、与那国島、粟国島、伊平屋島の小規模離島7島で生産しており、21年産生産量は前年の8036㌧を1582㌧上回る9618㌧の実績があった。だが、黒糖市場は外国産輸入糖や加工糖の拡大から需要低迷の状態にあるとういう。
黒糖市況の低迷で、先月17日には八重山地域の含みつ糖工場が、契約農家65戸に今期の原料代金9767万円を支払っていないことが明らかになった。
一方で、本土菓子メーカーなどでは、県産含みつ糖は生産量、供給量が少なく入手しづらいとの風評があり、需要側の認識不足を解消するための周知のあり方などが同対策協議会内で指摘されていた。
同協議会では、県産黒糖の消費拡大を目指すことを目的に「黒糖の日」を制定し、これを契機に県内外への周知活動と販売促進に向けての活動を展開し、生産者意欲の向上を図りたい考え。
下地村長は「県産黒糖の販路が狭まり危機的な状態にある。農家の生産意欲に直結することなので多くの方に理解してもらい、安全で安心な甘味資源としての黒糖を県内外にアピールし販路を広げていきたい」と話した。
制定記念セレモニーの後、琉球大学農学部の和田浩二教授が「黒糖に秘めたるパワーを活用しよう」と題して記念講演を行った。また川満栄長竹富町長ら6人のパネリストが「機能性豊かな黒糖の可能性について~黒糖の良さを再発見~」と題してパネルディスカッションを催した。