国の登録有形文化財に/旧西中共同製糖場煙突
国の文化審議会(宮田亮平会長)は14日、宮古島市の吉濱正一さんが所有する「旧西中共同製糖場煙突」=市城辺字西里添=を新たな国の登録有形文化財(建造物)とすることを田中真紀子文科相に答申した。宮古の国登録建造物は2007年3月16日登録の「大野越排水溝」=市平良字東仲宗根添=に続き2件目となった。
同煙突はサトウキビ畑の中に建つれんが煙突。基部の平面は2・7㍍角で、高さは13㍍。イギリス積みで、東西面の基部に欠円の煙道を残している。宮古島の伝統産業である製糖業を象徴する煙突で、県内でも希少な昭和前期の製糖工場の遺構。
1944年に操業中止となり現在、同所にはれんが煙突とボイラー冷却用の貯水槽が残っている。上端を一部欠いており、元は20㍍程度であったと伝えられている。旧西中製糖場は42年に旧城辺村西中、西西集落の農家数百人で結成した組合が苦心して建設した製糖場で、同煙突は、その業績を伝える貴重な文化遺産としての価値を有する。
大城浩県教育長は「歴史の荒波にもまれながら、それを乗り越えてきた煙突が国登録有形文化財となることは地域の文化財を大切にしてきた関係者の努力の結実だ」とコメントした。
川満弘志市教育長は「旧城辺町の頃より保存すべき文化財として多くの人々が、その保護に尽力された。永く後世に残されることをうれしく思う」との談話を発表した。