市政の将来定める/第3回市長選
1月13日告示、20日投票/初の無投票なるか
第3回宮古島市長選挙は今月13日告示、20日に投票が行われる。今後の市の将来を決定する選挙だけに重要な選挙と位置付けられ、島内外から大きな関心が持たれている。現職下地敏彦氏(67)の再選なるか、新人候補が出現するかが注目されているが、昨年12月26日現在、現職下地氏以外の出馬の動きがなく、今市長選は無風状態が続いている。告示日まで現職下地氏に対抗する候補者が現れなかった場合、2005年の市町村合併以降、初の「無投票」が確定することになる。
過去2回行われた市長選挙は、第1回が市町村合併直後の05年11月13日に執行された。旧平良市長の伊志嶺亮氏=当時(72)=と元県宮古支庁長の下地敏彦氏=当時(59)=の「一騎打ち」が展開された。
合併後初のリーダーを決める同選挙は有権者の関心も高く、投票率は85・86%(男84・74%、女86・93%)と比較的高い値をマーク。宮古島市の革新支持勢力と保守支持勢力が激突する形となったため、選挙戦も激しさを増した。結果、伊志嶺氏1万8033票、下地氏1万7620票を得票し、現職伊志嶺氏が413票の僅差で下地氏を破って当選した。
第2回市長選は任期満了を待たずして伊志嶺市政の市職員による一連の不祥事の責任を取る形で、市長自身が08年12月31日付で辞任。市長の引責辞任に伴い翌09年1月25日に第2回宮古島市長選挙が行われた。
市長辞任という異例の事態で迎えた同選挙には候補者6人が立候補するというこれまで宮古圏域内で行われた首長選挙では見られなかった候補者多数選挙となり、第1回選挙で見られた保守系・革新系がぶつかり合うという構図もこの選挙を境に崩れ去った。
同選挙は候補者全員が無所属新人で出馬した。前回選挙で惜敗した下地敏彦氏=当時(63)=が自民、公明の推薦を受けて出馬。中道勢力の支持を受けて会社役員の藤村明憲氏=当時(59)、伊志嶺前市長の後継候補として革新系の真喜屋浩氏=当時(73)、唯一の女性候補者友利敏子氏=当時(64)、歯科医師の大城智氏=当時(52)、会社会長の中山誠氏=当時(63)=の6人が立候補した。
選挙結果は下地氏が1万2754票を得票し、次点の藤村氏に2123票の差を付けて当選を果たした。
この選挙の投票率は第1回選挙の85・86%を14・66ポイント下回り71・20%(男70・45%、女71・45%)にとどまった。
その要因として候補者多数による選挙で、①候補者個々の政策の違いが見えづらい選挙となったこと②地縁・血縁の濃い地域で複数の支持依頼があったことなどから、誰か一人に絞り込むことができずに投票そのものを棄権した有権者がいた③前市政の職員不祥事が行政・政治に対する有権者の不信感を招いたこと-などの理由が考えられる。
戦後行われた旧5市町村の首長選で「無投票」がないのは旧伊良部町のみ。旧平良市では、1959年選挙の富永寛氏、63年選挙の真栄城徳松氏、77年選挙の平良重信氏の3例が無投票だった。また、旧城辺町では77年執行の町長選で森田武雄氏が無投票当選を果たしている。
下地、伊良皆氏が出馬/多良間村長選
兼浜陣営でも擁立の動き
【多良間】今年は任期満了に伴う多良間村長選挙が、6月に行われる。現段階では現職の下地昌明氏(61)=無所属=と、新人で前副村長の伊良皆光夫氏(57)=無所属=の両氏が出馬の意向を表明。過去3回下地村長と戦った兼浜朝徳陣営でも擁立の動きがあり、今回は三つどもえの可能性がある。
多良間村長選挙は元村長安里茂男氏・下地現村長のラインと、元村長仲宗根玄常氏・同兼浜朝徳氏の流れがぶつかる戦いが1986年以来続いてきた。今回は従来の対決構図が崩れ、支持勢力が流動化した。
下地村長は昨年の10月定例会で、出馬の意思を明確にした。下地村長は、その後10月30日に、伊良皆副村長(当時)を解任。伊良皆氏はこれを受けて、対決姿勢を鮮明にした。兼浜陣営では昨年12月上旬に兼浜氏を支持する若者4、5人が話し合いを持ち、同陣営から擁立することを決めたという。
今回の選挙では下地村政の継続か、他候補の村政奪還なるかが最大の争点。政策面は地域経済活性化や若者の定住促進、高齢者福祉などが課題になりそうだ。
過去の多良間村政をみると、下地朝憲氏が復帰前の1966年から82年まで、4期16年無投票で村政を維持した。同年、仲宗根玄常氏にバトンタッチ。この時、助役に安里茂男氏、収入役に兼浜氏を登用、次の後継者に安里氏を据える暗黙の路線が島を二分する骨肉の争いの発端となった。
安里氏は、村政継承の既定路線をほごにされたことから反旗をひるがえし86年の選挙に立候補。
しかし、結果は12票差で涙をのんだ。90年は、91票差で仲宗根氏を破り、初当選した。
今回の下地村長と伊良皆前副村長の関係は、仲宗根氏と安里氏の対立構図に似ている。
仲宗根氏の流れをくむ兼浜氏と安里氏の対決は、3回とも安里氏が勝った。安里氏の流れをくむ下地氏と兼浜氏の戦いは下地氏の2勝1敗。今回の選挙は下地、伊良皆、兼浜陣営から立候補した場合、従来とはまったく違う選挙構図になる。
選挙活動は、サトウキビ収穫終了後の4月から活発化するとみられている。
昨年11月3日(衆院選基準日)現在の有権者数は921人(男性493人、女性428人)となっている。