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旧暦:10月24日 先負 壬 
行雲流水
2013年1月9日(水)23:36

「屠蘇」(行雲流水)

 先日知人宅を訪れると冬休みと祖父母への正月あいさつを兼ねて来島したという小学高低学年の児童たちがにぎやかに迎えてくれた。しばらく談笑の輪に入って興じていると低学年の孫がいきなり「どうして寒い冬なのに年賀状には新春や初春と書くの」と聞いた。一瞬言葉を失った


▼昔の暦では1月~3月は春だからと答えたが幼児に旧暦の成りたちについて納得させることは無理だった。確かに今年の元日は旧暦11月20日で春ではない。「目出たさも中くらいなりおらが春」(小林一茶)の心境になった

▼帰宅して改めて見なおすと新春や初春表現の年賀状は4割もあった。ことさらに考えることもなかった春の字面。児童の直感に刺激されてか新年の祝い酒が一めぐりしたころ「屠蘇」のいわれも話題になった

▼屠蘇は一人が飲むと一家に病人はなく一家で飲むと一里(一集落)に病人はいなくなるという。宮古にも正月三が日にお雑煮を味わい屠蘇酒を飲む風習は今なお根づいている。どの家庭にもとは言えないが

▼屠蘇は鬼気を屠(途)絶えさせるの「屠」と魂を蘇生させるの「蘇」が合わさった効能すぐれたありがたいもの。古来人々はめでたい新年を迎えると心身の浄化を願って飲む屠蘇に親しくなじんできた

▼低学年ながら疑問をいだくと即座に解答を求めて質問してきた児童の胸の内を思いうれしくなって乾杯した

▼わが門に新年きたり/あら玉の祝言言ひぬ/おめでたう努め給へや/本年は君の年なり…慎みて努め給へや/その希望成らぬ事なし…本年は君の年なり(佐藤春夫「新年来る」)。

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