集落練り歩き無病息災祈願/伝統祭祀「カエルガマ」
池間島
伝統の祭祀「カエルガマ」が10日、池間島で執り行われた。別名スマフサラ。植物で身を着飾った神女役の司たちが「ヤマグ・イダシバ、ヘイヘイ」と唱えながら集落内を練り歩いて払い清めた。住民らは、向こう1年間の平穏無事や無病息災を願った。
カエルガマのカエルは「帰る」、ガマは接尾語で「小さい」の意味。住民の中にはカエルガマではなく、カウルガマと発音し、カウルは石で作った香炉の意味で「小さい香炉」と解釈している人もいる。
ヤマグ・イダシバのヤマグは、凶暴の山賊と悪霊の意味。イダシバは、隠れている山賊と悪霊を表に出して追い払うと解されている。スマフサラは「島腐ら」とも当て字される。左縄で豚の骨を結び、集落の入口の道路の上に架け、外部からの山賊や悪霊の侵入を防いだ。
この日の女性たちは、島の最高聖地であるウハルズ御嶽で祈願の後、ワーニトゥガイ(豚煮岬)に移動した。女性たちは、池間自治会の奥原正美会長ら住民の男性が作った豚料理を供え、海に向かって祈願。次いで女性たちは、由緒ある旧池間村のヤマグス(山越)など5カ所で石作り香炉に線香をいて祈りを捧げた。
この後、女性たちは、グンバイヒルガオの草冠と帯を身に付け、ダンチク(イネ科)の茎を手に集落内を回った。道中「ヤマグ・イダシバ、ヘイヘイ」と唱え、山賊と悪霊を追い出した。