ストレス掛からない接客を/観光バリアフリー接遇セミナー
障害、高齢者の対応学ぶ/サービス向上へ講演と実習
NPO法人バリアフリーネットワーク会議(事務局・沖縄市、親川修代表)主催の「観光バリアフリー接遇スキルアップセミナー」が16日、平良港ターミナルビルで開かれた。講演で親川代表は障害者や高齢者の観光客にストレスを感じさせない接客の重要性を指摘し、ストレスを感じさせないためには接客・接遇者が当事者のストレスを理解する必要性
を訴えた。
同セミナーは、障害者や高齢者の特性や立場を理解することで、観光サービスの質を向上させることを目的に開催されたもので、観光関連事業所や福祉施設の職員、障害者ら約50人が参加した。
「観光地における移動・災害弱者に対する避難対応」と題した講演で親川代表は、バリアフリーとは社会の中から障壁(バリア)を取り除くこと、ユニバーサルデザインとは最初からバリアをつくらないことと説明し、「ユニバーサルデザインが観光地に一番必要なこと」との考えを提示。観光地として最もしてはいけないことの一つとして「ストレスを感じさせること」を挙げ、それを避けるためには、障害者や高齢者がどこにストレスを感じるのかを受け入れ側が理解し、それを取り除くよう呼び掛けた。
視聴覚障害者に対する配慮としては、見える情報を聞こえる情報に変えること、聴覚障害者には聞こえる情報を見える情報に変えることが必要と指摘する親川代表。ホテルなどで宿泊する視覚障害者に非常口の場所を教える場合は、部屋のドアを背にした状態からの行き方を教えるべきと呼び掛けた。
さらに「安心と安全はすべての人に平等でなければならない」との考えを示した上で「障害者や高齢者だけの問題ではなく、特に観光地は災害が起きた場合、右も左も分からない観光客の避難をどうすれば良いのか、常に考えておく必要がある」と訴えた。
講演後には体験実習が行われ、参加者たちは足の不自由な人を専用の器具を使って階段から運び出したり、車いすでの段差の上り下り、高齢者疑似体験などを実施。講演の前には、「自立生活センターまんた」の長位鎌二良代表が障害当事者として、宮古島のまちなかには段差などのバリアがまだまだあること、バリアフリー対応とうたわれていても実際には使いづらい施設があることなどを報告した。
同セミナーは県の「2012年度誰にでもやさしい観光地づくり形成事業・観光バリアフリーサポーター育成事業」の一環として実施された。