「こんな近くにいたとは」/資産家遺体遺棄事件
2人目逮捕に驚き/報道陣詰め掛け緊迫
資産家の夫婦とみられる遺体が見つかった事件で、警視庁築地署捜査本部は30日午後、宮古島市に潜伏していた渡辺剛容疑者(43)を逮捕した。宮古島で2人目となる逮捕者が出たことに市民らは「こんな近くにいたとは…」と驚きを隠しきれない様子。捜査の拠点となる宮古島署には、早朝から本土からの報道陣が続々と詰め掛け、緊迫した雰囲気に包まれた。
渡辺容疑者は29日に、城辺比嘉の農道で倒れているところを発見された。自殺を図ったものとみられる。警察官が消防に通報。同容疑者は救急車で宮古病院に搬送された。救急車の中では意識混濁の状況だったという。
逮捕を受けて比嘉の住民らは一様に驚きの表情を見せた。61歳の自営業の男性は「昨日(29日)ラジオで犯人が宮古島に潜伏しているというニュースを聞きびっくりした。小さな宮古島で、ましてや住んでいる比嘉でこんなことが起こるとは…」とショックを受けた様子。「ニュースを聞いた近所に住むお年寄りたちも訪ねてきて、『一体どうなっているんだ』とおびえていた」と話した。
農業の男性は、前日の29日に家の近くに複数のレンタカーが止まっているのを目撃したという。また、救急車とパトカーが一周道路方面に向かうのを見ており「ぼや騒ぎかと思ったが、あの状況が容疑者発見の時だったのか」と表情を曇らせた。
男性教諭(43)は「怖くて眠れなかったという子どもたちがいた」と話し、子どもたちの間で不安が広がっていることを明かした。「こんな小さな島で逮捕者が出たことは現実だが、今でも信じられない。2人目の容疑者逮捕にはほっとしているが不安はぬぐえない」と話した。
城辺在住の主婦(35)は「まだ別の犯人が潜伏していると聞いていたので、2人目の逮捕については安心している。ただ、本当にこれで終わりなのかどうか分からない」と語った。
宮古島署には、報道陣の前を警察車両が出入りするなど、慌ただしい雰囲気に包まれた。同署前を通過するドライバーも車の速度を落として不安げな様子で見ていた。