行雲流水
2013年3月6日(水)23:21
「TPP交渉」(行雲流水)
安倍首相は先月23日の日米首脳会談でTPP(環太平洋経済連携協定)への交渉参加に関し共同声明に「一方的に全ての関税を撤廃することをあらかじめ約束することを求められるものではない」との文言を記すことができたのは大きな成果だと強調した
▼先の衆議院選挙で「聖域なき関税撤廃を前提とするTPP交渉には参加しない」と公約。その政権公約を果たすことができたとの自負がちらつく強調である。しかし共同声明文の脈絡でとらえるとこの文言は危うい
▼声明文の冒頭には「日本がTPP交渉に参加する場合には全ての物品が交渉の対象」「日本が他の交渉参加国とともに…『TPPの輪郭』において示された…協定を達成していくことになることを確認する」の前提が明記されているからだ
▼2011年11月12日米国などTPPの交渉参加の9カ国は首脳会談で「関税ならびに物品・サービスの貿易および投資に対するその他の障壁を撤廃する」と発表した。『TPPの輪郭』とはこの発表文書のことである
▼このように共同声明冒頭の前提文には「すべての物品」や「その他の障壁(関税)撤廃」の文言が明確に記入されている。関税で守られている産地は例えばコメは全国的に。そして砂糖では沖縄。小麦や乳製品では北海道である
▼首相は国益に反するTPP交渉には参加しないと言うがわが国政権が米国に毅然と物言いできないことはオスプレイの強制配備や地位協定改定や首都圏に半世紀以上も外国軍隊を居座らせていることなど例証には事欠かない。