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私見公論
2013年3月15日(金)23:49

宮古島マンゴーのブランド化を目指して(2)/上地 克冶

私見公論60

 各生産農家の方々どこへ出荷するか、さあ大変です。私どもは兄が政治に関わっていることもあり、数軒の生産農家から出荷先が何とかならないか相談がありました。兄も市役所の農政課とも協議の上、沖縄選出の参議員の先生の協力をいただき、全国展開をしている大手のスーパーに急きょ、しかも普段の取引では考えられない速さで取引をまとめ上げてくださいました。兄は立場上具体的な取引には携われないので、あとの取引については私が引き継ぎ、1週間で約300万円近い取引としていただき大変助かり、手塩にかけて作ったマンゴーを無事販売することができました。


 ちょうど21年度は収穫の始まる前に営業に行った川崎中央青果の佐藤常務(現社長)から、「上地さん、宮古島のマンゴーを本気で売るなら、個人の農園では出荷の大きな命題である安定供給と品質保持が難しいので、共同出荷をぜひ考えてくれないか」とアドバイスをいただいている時期でもありました。ですから私自身は気の合った仲間4~5人で共同出荷を目指してグループを結成するつもりでした。ところが大手スーパーに急きょ取引をまとめたこともあり、十数名の方々がぜひ一緒にやろうよと声を掛けてくださいましたので、それでは皆でやろうよとなりました。

 ただ私どものメンバーの良さは売り先の確保だけで集まったのではなく、それこそ日本で一番品質の良いマンゴーを作り、宮古島を一生懸命売ろうという志を持った、顧客だけでも生産量の足りない20年選手から今年が初生りという新人さんまで、バラエティーに富んでいます。

 この辺で手前みそではありますが、少しメンバーの自慢をさせていただきます。よく世間ではマンゴーとゴルフはやっている方は全員先生だと皮肉られますが、マンゴーを栽培する方は、教え魔の割には肝心なことは企業秘密だといって教えてくれないという話を聞きます。マンゴーを作っている先輩方、間違っていたらお許しください。ところが私どものメンバーは自分がやって良かったらこういうことをしたらよかったので皆もやって見ようよと教えてくれます。

 例を2~3紹介しますと、一昨年私どものメンバーも含め、多くの生産農家が台風の風害やその後のカイヨウ病や軸腐れ病で大きな被害を出しました。しかし、メンバーの中には被害の全く無い生産者もいました。それで自分は斯く斯くしかじかの方法で被害が無かったので皆もやってみたらと教えてくださいました。

 またあるメンバーの方は自分が実践している病害虫対策や、おいしくなる酵素の作り方を全員集めて講習会を開いてくれました。すると私どものメンバー以外の野菜生産農家の方々もお見えになり、予想外の30人での講習会になったこともあります。事ほど左様によいことは皆でやろうという素晴しいメンバーです。こういうメンバーと一緒に活動できほんとに幸せです。

 次は販売活動についてご紹介したいと思います。私ども出荷組合は、マンゴーの普及および周知啓蒙活動の一環として、市役所や宮古島の各団体、それからいろいろな特産品製造会社のご協力をいただいて、東京新宿駅西口で、宮古島観光、果実物産展を毎年7月(昨年はマンゴー不作のため中止)に行っています。その中でマンゴーの販売をしながらいろいろなアンケート調査もやらせていただいています。その結果からいくつかご紹介しますと、まずマンゴー(宮古島産に限らず)を召し上がったことのある方は全体の1割程度です。それから残念ながら宮崎産の知名度の高さもあり、マンゴーは富裕層の食べ物と思われています。

 ここで一つエピソードをご紹介します。私たちはマンゴーの普及という命題があるので1円でも安くと、東京でも宮古島とさほど変わらない金額で販売しています。すると妙齢のご婦人2人がお見えになり、マンゴーの金額を見るなり、こんなに安いのは宮古島産ではない、偽物だとはき捨て帰られました。事情を説明する時間もありませんでした。なんと情けなく悔しいことか。

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