行雲流水
2013年3月22日(金)22:15
「高齢者雇用」(行雲流水)
年金支給年齢の引き上げに伴う雇用延長が4月1日から義務化される。企業も働く人もこもごもの思いがあることだろう。60歳定年退職が当たり前で、年金は60になれば満額をもらえるものと思っていたが、受給年齢が段階を踏んで65歳まで引き上げられる
▼定年後も働きたい人にとっては年金がもらえるまで働けることはうれしいことだが、一方では就職の機会が狭くなったと嘆く若い人たちもいることだろう。高齢、少子化した日本の年金制度を維持していくための改革とはいえ企業にとっても、働く人たちにとってもきしみがある
▼大手企業の中には現役世代の賃金を削減して雇用延長された社員の賃金を補う仕組みを取り入れたり新規採用を控え目にしたりと経営の安定に四苦八苦だ。企業にとっては人件費が大きな負担になるからである。65歳までの雇用は賃金だけではなく、人間関係にも暗い影を落とす
▼定年後に再雇用された人が元上司だと若手の管理職が使いこなせるはずがない。仕事の上で元上司が何かと口出しすることだってないとは言えないだろう。指揮系統の乱れが起こりうるのである
▼宮古島の企業ではそのようなことはないと思うが、問題がないわけではなかろう。企業の大小に関係なく65歳まで継続雇用が義務付けられたのだから本人が辞めると言わない限り解雇することはできない
▼企業を立ち上げ軌道に乗せるには血のにじむ思いであるが、国はそのようなことは考えないし、経営が成り立たなくなったからといって特別な保護を保障するわけでもない。65歳までの雇用義務は経営者にとっては重い課題だ。