水使用料金増額へ/財政悪化で改良区
水管理人廃止、人件費削減も
厳しい財政運営を強いられている宮古土地改良区(仲間克理事長)が、農業用水の使用料として農家から徴収している賦課金の増額を本格的に検討する。増額の実施は2014年度以降になる見通しで、上げ幅は13年度に詰める。仲間理事長は27日の総代会で「予算が非常に厳しい。今後の運営については賦課金を上げるしかない」と明言し、総代に理解を求めた。
土地改良区は同日の総代会で、理事の定数や人件費の削減、水管理人制度を廃止する議案を提出。2013年度事業計画案および一般会計予算案などと併せて可決された。
事務局によると、財政悪化の主な要因は、地下ダム関連施設の管理事業にかかる予算が大幅に減少しているためだ。受託費や補助金が年々減っているという。
収入が減少する一方で、かんがい面積の拡大に伴う施設の維持管理費は増加。加えてパイプラインの破損など関連施設の故障は相次いで発生しており、これらの施設を修繕する費用が財政を圧迫している。
土地改良区は、このような財政状況を好転させるため、理事会内に組織予算検討委員会を設置して支出の徹底削減を図った。
その内容を定款や規約の改正案として総代会に提出。改正内容は、理事を現行の20人から14人に、員外理事を4人から2人に削減することや、現行では約100人いる水管理人をゼロとし、報酬や水管理人に支払う予算を抑える。
さらに土地改良区職員の人件費をカット。14人の職員の定期昇給を停止し、一部の職員については減給を行う。管理職手当や特殊勤務手当もカットする。
仲間理事長は「職員も役員も身を削らなければならない」と強調。一方で、これらの支出を抑制しても財政の好転にはつながらないことを指摘し、「今後の運営に関しては賦課金を上げるしかない。来年度(13年度)から検討しないといけない。厳しい状況を理解してほしい」と述べた。
賦課金の上げ幅は今後の検討課題だが、事務局は参考として県内各地の賦課金を説明。10㌃当たり年間1500円の宮古地区に比べて、他地区は3000~1万円を徴収している実態を示し、理解を求めた。
この日の総代会では13年度の事業計画案や予算案も承認。事業計画には「賦課金の単価適正化による増額改定も含めて取り組まなければならない」とする財政運営方針を明記した。
13年度一般会計予算は収入、支出ともに1億8300万円を計上した。収入の柱は▽組合費7255万円▽補助金3430万円▽受託比5113万円-など。
2012年3月31日現在の土地改良区の組合員数は1万188人。地区面積は9520㌶となっている。