行雲流水
2013年5月1日(水)22:55
「国の最高権力者」(行雲流水)
国の最高権力者の他国への接し方、中でも過激な発言がいかに向けられた国を激怒させ政府間に抜き差しならない憎悪の感情を増幅させるか。結果として国民間にも険悪な敵愾心を生まれさせるかという事例が近年めだっている
▼韓国の北の国にとどまらない。世界一の軍事力を誇示する大国のイラクを名指しした「ならず者国家」発言もしかり。過激な発言の結果は有りもしない大量破壊兵器(核兵器)を口実にしたイラクへの大量殺傷兵器の投下となった
▼開発した新兵器の性能実証実験かとうわさされた劣化ウラン弾などによって戦後のイラクでは今日無脳症や肢体不自由な障害児の誕生が増加しているとわが国の人権団体「ヒューマンライツ・ナウ」は現地での聞き取り調査の結果を発表(4月20日付「琉球新報」)
▼ベトナムでは同大国が爆撃機から散布した枯葉剤が要因とされている先天性異常体で生まれたベトちゃんドクちゃんの例もある。アインシュタイン博士の「戦争は卑しむべきもの/人間性を冒涜する汚点」の警告が胸に響く
▼一国の権力者の言動はいくら自国民に受け入れられようとも他国に対する唯我独尊の資質に根づけば対等平等・相互互恵関係構築うんぬんの言辞も相手国にとっては美辞麗句の虚飾でしかなく真の友好関係は築けまい
▼時の権力者が招いた戦争戦禍に巻きこまれ肉親の多くを失って命からがら生き残ったがゆえに戦争をうらみ心底にくみ続けてきた県民も今や高齢化。戦後の荒廃した生活体験もない〝戦争を知らない世代〟為政者の我を張った強国論には違和感を禁じ得ない。