十字絣14反検査合格/宮古上布12年度
5年前と比べ11反の減
宮古織物事業協同組合のまとめによると、2012年度に県の検査を受け合格した宮古上布の十字絣は、5年前(07年度)の25反より11反少ない14反となった。十字絣を織る人は7人で、07年度の19人と比べ12人減った。
同組合は生産減の要因に織り子の減少や、苧麻糸紡ぎに熟練の技を持つ人の高齢化や引退などに伴い、十字絣に使う細い上質糸の生産が減ったことを挙げた。
織り子たちは、研修を受けて一定レベルの技術習得はできるものの、機織りだけでは収入が少なく、担い手に育つのは厳しい状況という。
苧麻績み技術も、03年から伝承事業がスタートした。ただ、日が浅いためか細い糸を紡げる後継者はまだ少ない。
宮古の家庭の主婦らは以前まで、糸紡ぎの内職で家計を支えていた。上布は、和装から洋装に変わる時代の流れとともに減少の一途をたどり、52年に2064反もあった生産は、03年度は11反にまで減少した。
宮古上布は1978年に国の重要無形文化財に認定され、保存継承の取り組みが始まった。
認定要件には①苧麻を手紡ぎした糸を使用②絣模様を付ける場合は、伝統的な手結いによる技法または手くくりであること③染織は純正植物染④手織りであること-などを示す。
12年度は宮古上布の帯31本(前年度26本)、草木染め12反(同12反)-なども検査を受けた。
今後の宮古上布の生産振興に向けては、新商品開発や販路の拡大などを課題に示す。同組合は今年の3月東京で一括交付金を活用しし、単独で展示会を開き、伝統の上布や新商品をPRした。組合は、同展示会の効果が今後出てくることに期待を込めている。